第三級陸上特殊無線技士 / 第二級陸上特殊無線技士 試験問題例題(無線工学 No.1) / 各問題解説 / 問21
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第二級陸上特殊無線技士 試験問題例題(無線工学 No.1) 問21 解説 PCM方式の構成

設問図

図は、パルス符号変調(PCM)方式を用いたデジタル無線通信装置の原理的な構成例である。 ⬜︎ 内に入れるべき名称を下の番号から選べ。

  1. 1. AFC回路
  2. 2. 識別回路
  3. 3. 符号化回路 ✓ 正答
  4. 4. 高域フィルタ(HPF)

解説

PCM(パルス符号変調)方式によるアナログ信号からデジタル信号への変換プロセスは、標本化(サンプリング)、量子化、符号化(コーディング)の3つのステップを順に行います。図の送信側では、標本化回路、量子化回路と並んでおり、その次に入るのは符号化回路(選択肢3)です。

アナログ信号をデジタル信号に変換する3つのステップ

PCM方式は、音声などの連続的に変化するアナログ信号を、コンピュータやデジタル無線機で扱える「0」と「1」のデジタルデータに変換するための最も基本的な技術です。この変換は一般にAD変換(アナログ-デジタル変換)と呼ばれ、以下の3つの段階を順番に経て行われます。

1. 標本化(サンプリング)

連続したアナログ信号の波形から、一定の時間間隔ごとにその瞬間の値(振幅)を抜き出す作業です。これにより、時間の連続性がなくなり、飛び飛びの時間における値が得られます。

2. 量子化

標本化によって得られた各瞬間の値を、あらかじめ用意された段階的な目盛りに最も近い値で近似(四捨五入のような処理)する作業です。これにより、細かな小数の値が、きりの良い整数値(段階値)に整理されます。

3. 符号化(コーディング)

量子化された整数値を、デジタル無線通信で送受信できるように「0」と「1」の2進数(デジタル信号)に変換する作業です。

図のブロックの流れから正解を導く

試験問題の図を左から順に見ていくと、送信側のプロセスが信号の流れに沿って配置されていることがわかります。

flowchart LR
    A["入力\n(アナログ信号)"] --> B["標本化回路"]
    B --> C["量子化回路"]
    C --> D["符号化回路\n(空欄)"]
    D --> E["送信機\n(デジタル変調)"]

入力されたアナログ信号は、まず標本化回路で時間的に細かく区切られ、次に量子化回路で値が段階的な数値に丸められます。この後に必要となる処理は、丸められた数値をデジタルデータにするプロセス、すなわち符号化回路です。

また、受信側を見ると、送信側とはまったく逆の処理を行っていることがヒントになります。受信機でデジタル信号を復調した後、復号化回路(符号化の逆)を通し、低域フィルタ(LPF)を通して元の滑らかなアナログ信号に戻しています。送信側の「符号化」と受信側の「復号化」は対になる関係にあるため、受信側に復号化回路があることからも、空欄には符号化回路が入ると確信できます。

他の選択肢について確認すると、AFC回路(自動周波数制御回路)は受信周波数を安定させるための回路であり、高域フィルタ(HPF)は特定の周波数以上を通すフィルタです。識別回路は受信側で「0」か「1」かを判定する回路であり、いずれもこの位置には当てはまりません。

デジタル通信を支える基礎技術の重要性

この問題で問われているPCMの3ステップは、現代のあらゆるデジタル通信やデジタルオーディオの根底にある技術です。携帯電話での通話や、音楽をスマートフォンで再生する仕組み、そして防災行政無線などのデジタル無線システムでも、すべてこの標本化、量子化、符号化というプロセスが使われています。

無線従事者としてデジタル無線機を運用・保守する際、電波が途切れたり雑音が入ったりしたときに、どの段階で信号が劣化しているかを切り分ける必要があります。例えば、量子化の段階で発生するノイズ(量子化雑音)の性質や、符号化によってデータがどのように圧縮・送信されるかという基本原則を理解しておくことは、システムのトラブルシューティングや適切な機器選定において非常に重要です。この問題は、単に回路の名前を暗記するだけでなく、現代のデジタル無線通信が成り立つ最も大切な仕組みを理解しているかを問う、教育的に大変意義のある問題です。

参考リンク

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