第三級陸上特殊無線技士 / 第二級陸上特殊無線技士 試験問題例題(無線工学 No.1) / 各問題解説 / 問20
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第二級陸上特殊無線技士 試験問題例題(無線工学 No.1) 問20 解説 FM通信方式の特徴

AM(A3E)通信方式と比べたときのFM(F3E)通信方式の一般的な特徴で、誤っているのはどれか。次のうちから選べ。

  1. 1. 振幅性の雑音に強い。
  2. 2. 占有周波数帯幅が狭い。 ✓ 正答
  3. 3. 装置の回路構成が多少複雑である。
  4. 4. 受信機出力の信号対雑音比が良い。

解説

AM(振幅変調)とFM(周波数変調)の最大の違いは、音などの情報を電波に乗せる際、電波の「高さ(振幅)」を変化させるか、「細かさ(周波数)」を変化させるかという点にあります。

FM方式はAM方式に比べてノイズに強く音質が良いという大きなメリットがありますが、その代償として電波の幅(占有周波数帯幅)を広く使ってしまうというデメリットがあります。したがって、FMの特徴として「占有周波数帯幅が狭い」とする選択肢2が誤りであり、この問題の正解となります。

音声を電波に乗せる二つのアプローチ

情報を電波に乗せて送信する技術を変調と呼びます。私たちが日常的に耳にするAMラジオやFMラジオは、それぞれ異なる変調方式を採用しています。

AM(A3E)は振幅変調と呼ばれ、音声信号の強弱に合わせて搬送波の振幅(波の高さ)を変化させる方式です。 FM(F3E)は周波数変調と呼ばれ、音声信号の強弱に合わせて搬送波の周波数(波の密度)を変化させる方式です。

この変調方式の違いが、受信時のノイズの多さや、必要となる電波の幅の違いとなって現れます。

メリットとデメリットは表裏一体

FM方式とAM方式の特徴を比較すると、技術的なトレードオフ(一長一短)の関係が見えてきます。

振幅性の雑音に対する強さとS/N比

自然界の雷や静電気、人工的なモーターのスパークなど、無線通信に悪影響を与えるノイズの多くは、電波の振幅(高さ)を乱す性質を持っています。 AMは振幅の変化によって情報を伝えているため、これらのノイズの影響を直接受けてしまいます。 一方でFMは、周波数の変化によって情報を伝えています。受信機の中で電波の振幅を一定に揃える回路(リミッタ)を通すことで、振幅に混入したノイズ成分をそぎ落とすことができます。そのため、FMは雑音に非常に強く、信号対雑音比(S/N比)が極めて良好になります。

占有周波数帯幅の広さ

電波をどれだけ広い周波数範囲にわたって占有するかという指標が占有周波数帯幅です。 AMでは、送信する音声の最高周波数の2倍程度の幅があれば通信が可能です。 しかしFMでは、音の強さに応じて周波数を大きく左右に揺らす(周波数偏移を行う)ため、AMに比べて非常に広い周波数帯幅が必要になります。FMラジオの1局あたりの帯域幅が、AMラジオに比べて圧倒的に広いのはこのためです。

回路の複雑さ

FM方式は、振幅を一定にするリミッタ回路や、周波数の変化を音声に戻す周波数弁別器(検波回路)などが必要となるため、AM方式の受信機に比べて回路構成が多少複雑になります。

パターンで覚える試験対策

このタイプの問題に取り組む際は、FMの特徴を「高品質だが贅沢な通信方式」とイメージすると整理しやすくなります。

FMは、音が良くてノイズに強い(メリット)という性能を実現するために、電波の帯域を広く消費し、回路も複雑にする(デメリット)というコストを支払っています。

問題文で「AMと比べたときのFMの特徴」を問われた場合、メリット側である「雑音に強い」「S/N比が良い」という記述、およびデメリット側である「回路が複雑」「占有周波数帯幅が広い」という記述はすべて正しい記述となります。したがって、「占有周波数帯幅が狭い」という、メリットとデメリットの辻褄が合わない記述を簡単に見つけ出すことができます。

実務や社会で活きる通信方式の適材適所

このAMとFMの特性の違いは、実際の無線局の運用現場でダイレクトに反映されています。

例えば、第三級陸上特殊無線技士の資格で扱うような、陸上の移動体通信(消防無線、防災行政無線、タクシー無線など)では、移動中のノイズを嫌うため、古くからFM(F3E)方式が多く採用されてきました。クリアな音声で確実に指示を伝達するためには、FMのノイズに強い特性が不可欠だからです。

一方で、航空無線(飛行機と管制塔との通信)では、現在でもAM(A3E)方式が使われています。航空無線は高高度を飛ぶ飛行機と超長距離の通信を行うため、混信が発生した際に「強い電波が弱い電波を完全に消し去ってしまう(FMのキャプチャ効果)」現象を防ぐ必要があります。AMであれば、混信しても両方の声が重なって聞こえるため、緊急事態の割り込みを察知できるという安全上のメリットがあり、あえてシンプルなAMが選ばれています。

変調方式の強みと弱みを理解することは、単なる試験対策にとどまらず、実際の運用現場で最適な通信を維持するための重要な基礎知識となります。

参考リンク

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