第三級陸上特殊無線技士 / 第二級陸上特殊無線技士 試験問題例題(無線工学 No.1) / 各問題解説 / 問22
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第二級陸上特殊無線技士 試験問題例題(無線工学 No.1) 問22 解説 VSATシステム

静止衛星通信におけるVSATシステムについての記述として、正しいのはどれか。次のうちから選べ。

  1. 1. VSAT地球局の送信周波数は、VSAT制御地球局で制御される。 ✓ 正答
  2. 2. 使用される衛星はインマルサット衛星である。
  3. 3. VSAT地球局は小形軽量の装置で、車両で走行中の通信に使用される。
  4. 4. 使用される周波数帯は1.5〔GHz〕帯と1.6〔GHz〕帯である。

解説

VSAT(超小形地球局)システムは、一つの親局であるVSAT制御地球局(ハブ局)が、多数の子局であるVSAT地球局を一元的に統制・管理する仕組みです。この親局がすべてをコントロールするという基本原則を理解していれば、子局の送信周波数は制御地球局によって決定・制御されるという選択肢1が正しいと、迷わずに判断できます。

VSATシステムの基本構造と役割

VSATとは、Very Small Aperture Terminalの略で、日本語では超小形地球局と呼ばれます。アンテナの直径が数メートル(一般的には1.2メートルから2.4メートル程度)の比較的小さなパラボラアンテナを使用する地球局システムです。

このシステムの特徴は、星型(スター型)のネットワークを構成することにあります。ネットワークの中心には、巨大なパラボラアンテナを備えたVSAT制御地球局(ハブ局)が置かれます。

地方のオフィスや店舗、災害現場などに設置された個々のVSAT地球局(子局)は、すべてこの制御地球局を介して通信を行います。個々の子局はコストを下げるために極めてシンプルな設計となっており、自律的に通信を調整する高度な機能は持っていません。そのため、混信を防ぎ効率的な通信を行うための送信周波数や送信電力の制御は、親局であるVSAT制御地球局が送信する制御信号に基づいて行われます。

各選択肢の正誤を見分ける判断プロセス

試験において迷いなく正解を導き出すためには、誤りの選択肢がなぜ間違っているのかを明確に説明できる必要があります。

選択肢2:使用される衛星はインマルサット衛星である

インマルサット(Inmarsat)衛星は、主に海上や航空、陸上の移動体を対象とした国際的なモバイル衛星通信サービスに使われる衛星です。VSATシステムは、静止軌道上にある民間の一般的な通信衛星(CSなど)の回線を借りて、特定の企業ネットワークや共同利用システムとして構築されます。インマルサット衛星に限定されるものではありません。

3. VSAT地球局は小形軽量の装置で、車両で走行中の通信に使用される

VSATは確かに地球局としては小形軽量ですが、アンテナを常に赤道上空約36,000キロメートルにある静止衛星へ正確に向け続ける必要があります。そのため、基本的には建物の屋上や地面に固定して使用する、あるいは車両であれば停車中にアンテナを展開して使用するものであり、走行中に通信を行うことは想定されていません。

4. 使用される周波数帯は1.5〔GHz〕帯と1.6〔GHz〕帯である

1.5GHz帯および1.6GHz帯(Lバンドと呼ばれる帯域)は、主にモバイル向けのインマルサット衛星通信などで使われます。VSATシステムでは、より高速で大容量の通信を行うため、Kuバンド(12GHzから14GHz帯)やKaバンド(20GHzから30GHz帯)といった非常に高い周波数帯が一般的に使用されます。

実社会におけるVSAT技術の活用と出題の背景

VSATシステムは、私たちの暮らしを災害やインフラの途絶から守るために欠かせない技術です。

例えば、地震や台風によって地上の携帯電話基地局や光ファイバー網が寸断された際、自治体の役所や避難所にVSATアンテナを設置することで、即座にインターネット回線や防災行政無線を復旧させることができます。また、地上回線を引き込むことが困難な山間部の気象観測所、建設現場、あるいは離島のガソリンスタンドやコンビニの決済端末バックアップとしても広く普及しています。

この問題が出題される背景には、陸上特殊無線技士として、電波の適切な運用管理プロセスを理解しているかを問う目的があります。多くの無線局が同じ衛星の中継器(トランスポンダ)を共有して使うため、それぞれの局が勝手な周波数で電波を吹いてしまうと、すぐに混信が発生してシステム全体がダウンしてしまいます。全体を管理するマスター局が存在し、それが子局の頭脳として機能するという協調制御の考え方は、現代の無線ネットワークを構築・維持する上での大原則です。

参考リンク

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