第一種電気工事士試験 / 令和7年度 下期 学科試験 / 問7
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令和7年度 下期 学科試験 問7 解説 配電線の電力損失

設問図

図のような単相3線式配電線路において, 負荷A, 負荷Bともに消費電力800W, 力率 0.8(遅れ)である。負荷電圧がともに100Vで あるとき, この配電線路の電力損失[W]は。 ただし, 電線1線当たりの抵抗は0.4Ωと し, 配電線路のリアクタンスは無視する。

  1. イ. 40
  2. ロ. 60
  3. ハ. 80 ✓ 正答
  4. ニ. 120

解説

この問題は、以下の3ステップで解くことができます。

  1. 負荷A、負荷Bそれぞれに流れる電流 II を求める。 I=PV×cosθ=800100×0.8=10[A]I = \frac{P}{V \times \cos\theta} = \frac{800}{100 \times 0.8} = 10\text{[A]}
  2. この配電線路は平衡状態(上下の負荷が同じ)であるため、中性線に流れる電流は 0[A]0\text{[A]} となることを確認する。
  3. 外側の2本の電線それぞれに 10[A]10\text{[A]} が流れると考え、電力損失 PLP_L を計算する。 PL=I2×r+I2×r=2×102×0.4=80[W]P_L = I^2 \times r + I^2 \times r = 2 \times 10^2 \times 0.4 = 80\text{[W]}

単相3線式における電流の考え方

単相3線式配電線路は、電圧の異なる2種類の電源を供給できる便利な方式ですが、計算の際は中性線の存在が鍵となります。中性線は、上下の負荷のバランスをとる役割を担っています。

今回のように、上下の負荷が消費電力800W、力率0.8で完全に等しい場合を「平衡状態」と呼びます。このとき、上側の電線から入った電流は負荷Aを通り、その大部分が負荷Bを介して下側の電線へ流れるため、中性線を通る電流は打ち消し合って 0[A]0\text{[A]} になります。つまり、実質的には外側の2本の電線だけに 10[A]10\text{[A]} が流れている回路として計算すれば良いのです。

電力損失を計算するプロセスの設計

この問題を解く際、迷いやすいのは「どの電流をどの抵抗にかけるか」という点です。電力損失は電線の抵抗で熱として発生するため、常に P=I2rP = I^2r の公式を用います。

電線1線あたりの抵抗 r=0.4[Ω]r = 0.4\text{[Ω]} と与えられていますが、回路全体での損失を求める必要があります。電流が流れているのは上側の電線(10[A]10\text{[A]})と下側の電線(10[A]10\text{[A]})の2本です。それぞれで I2r=102×0.4=40[W]I^2r = 10^2 \times 0.4 = 40\text{[W]} の損失が発生するため、合計で 40+40=80[W]40 + 40 = 80\text{[W]} となります。

もし中性線にも電流が流れるような「不平衡状態」であれば、中性線の抵抗による損失も考慮する必要がありますが、第一種電気工事士の計算問題では、まずはこの平衡状態の基本形を確実に押さえることが合格への近道です。

実務における配電方式の重要性

この知識は、実際の建物や工場における配線設計の根幹に関わります。単相3線式は、住宅などの引き込み線として一般的に採用されていますが、回路が著しく不平衡になると、中性線に過大な電流が流れてしまい、電圧の偏りや異常発熱を招くリスクがあります。

試験問題としては「抵抗による電力損失の計算」を問うていますが、実務的には「負荷のバランスをいかに均等に振り分けるか」という設計能力が問われています。電線の太さ(抵抗値)と流れる電流の関係を理解しておくことは、電線の許容電流を選定し、火災を防ぐための安全基準を理解する上で不可欠な基礎知識といえます。

参考リンク

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