令和6年度 上期 第一種 学科試験 問44 解説 機器の役割
④で示す機器の役割は。
- イ. 高圧電路の電流を変換する。 ✓ 正答
- ロ. 電路に侵入した過電圧を抑制する。
- ハ. 高圧を低電圧に変圧する。
- ニ. 地絡電流を検出する。
解説
この問題は、配線図のシンボル(記号)が何を指しているかを特定し、その機器の「機能」を結びつけることで解きます。④のシンボルが変流器(CT: Current Transformer)であることを認識すれば、その役割は「大電流を小電流に変換して計測や保護に用いること」と即座に判断できます。
変流器(CT)の役割と仕組み
変流器は、高圧電路を流れる大きな電流を、計器や保護継電器で扱える小さな電流(一般的に二次側定格5Aなど)に変換するための機器です。
第一種電気工事士の試験において、変流器は「電流を測るためのもの」と「異常を検知するためのもの」という2つの大きな側面で登場します。
・電流計用:大きな電流を直接メーターに入れることは危険かつ技術的に困難であるため、変流器を介して比例縮小した電流を流し、正確な値を測定します。 ・保護継電器用:過電流が発生した際に、その信号を継電器に伝えて回路を遮断させるための検知用信号として使用されます。
選択肢を吟味する判断のポイント
試験本番では、類似した機器との混同を避けることが重要です。
・イ. 高圧電路の電流を変換する(正解):これがCT(変流器)の定義そのものです。 ・ロ. 電路に侵入した過電圧を抑制する:これは避雷器(LA)の役割です。 ・ハ. 高電圧を低電圧に変圧する:これは計器用変圧器(VTまたはPT)の役割です。電圧を測るために用います。 ・ニ. 地絡電流を検出する:これは零相変流器(ZCT)の役割です。通常のCTは線路電流を変換しますが、ZCTは三相のベクトル和をとることで漏電を検出します。
このように「変換するもの(CT・VT)」「抑制するもの(LA)」「特定電流を検出するもの(ZCT)」を明確に区別しておくのが合格への近道です。
実務における変流器の重要性
変流器は高圧受変電設備において、「目」の役割を果たしています。受電設備全体の消費電力を監視したり、万が一の過電流や短絡事故が発生した瞬間に遮断器へ指令を出したりする際、変流器からの情報がなければ設備は無防備な状態となります。
試験問題としては記号の暗記になりますが、現場ではこの機器の二次側(小電流側)が開放されると、高電圧が発生して極めて危険(二次側開放による過電圧)という性質があります。こうした知識は、将来の工事現場での安全管理においても非常に重要な基礎概念となります。