令和6年度 上期 第一種 学科試験 問35 解説 接地工事の施設
人が触れるおそれがある場所に施設する 機械器具の金属製外箱等の接地工事につい て,「電気設備の技術基準の解釈」に適合する ものは。 ただし,絶縁台は設けないものとする。
- イ. 使用電圧200Vの電動機の金属製の台及び外箱には,B種接地工事を施す。
- ロ. 使用電圧6kVの変圧器の金属製の台及び外箱には,C種接地工事を施す。
- ハ. 使用電圧400Vの電動機の金属製の台及び外箱には,D種接地工事を施す。
- ニ. 使用電圧6kVの外箱のない乾式変圧器の鉄心には,A種接地工事を施す。 ✓ 正答
解説
接地工事の判断基準をマスターする
この問題は、電圧区分と機器の種類に応じて、どの種類の接地工事(A、B、C、D種)を適用すべきかを判別する問題です。まず、問題文の数値を整理し、以下の優先順位で判断します。
- 高圧(600V超):基本はA種接地
- 低圧(300V超〜600V以下):原則C種接地
- 低圧(300V以下):原則D種接地
今回の設問では、高圧(6kV)の乾式変圧器の鉄心という特殊なケースが含まれている点が重要です。
電圧と接地工事の対応ルール
接地工事の種類は、漏電時に人命を守るための抵抗値や、適用する電圧の高さによって定められています。
・A種接地工事:高圧機器の金属製外箱や鉄心に使用します。抵抗値は10オーム以下です。 ・B種接地工事:変圧器の高圧側と低圧側を混触させた場合に備え、変圧器の低圧側中性点等に施します。 ・C種接地工事:300Vを超える低圧機器の金属製外箱に使用します。抵抗値は10オーム以下です。 ・D種接地工事:300V以下の低圧機器の金属製外箱に使用します。抵抗値は100オーム以下です。
選択肢を論理的に検証する
提示された選択肢をルールに当てはめて検討します。
イ:使用電圧200Vは300V以下なので、本来はD種接地工事です。B種接地は変圧器用ですので誤りです。 ロ:使用電圧6kVは高圧のため、A種接地工事が必要です。C種接地は低圧用であるため誤りです。 ハ:使用電圧400Vは300Vを超えているため、C種接地工事が必要です。D種は300V以下用であるため誤りです。 ニ:高圧(6kV)の外箱のない乾式変圧器の鉄心は、接地することで電位を安定させ、誘導障害や感電を防ぐ必要があるため、A種接地を施します。これが正しい選択肢です。
接地工事を理解する意義
電気設備の現場では、機器の金属外箱を必ず接地します。これは「漏電が発生した際に、電流を地面に逃がして感電事故を防ぐ」ためです。なぜ電圧によって種類を分けるのかというと、電圧が高いほどより低い抵抗値で確実に地絡電流を流さなければならないからです。
実務においては、単に「何種接地か」を暗記するだけでなく、その機器がどのような電圧階級で、どれくらいの地絡電流が流れる可能性があるのかを考慮して設計・施工が行われています。特に乾式変圧器の鉄心のような、通電部ではない金属部分であっても、高圧回路の近傍にある場合には電位が上昇するリスクがあるため、A種接地が求められるという考え方は、安全基準の根幹をなす知識です。