令和6年度 上期 第一種 学科試験 問34 解説 高圧受電設備の構成
問30から問34までは,下の図に関する問いである。 図は,自家用電気工作物(500kW未満)の高圧受電設備を表した図及び高圧架空引込線の見取図である。この図に関する各問いには,4通りの答え(イ,ロ,ハ,ニ)が書いてある。それぞれの問いに対して,答えを1つ選びなさい。 〔注〕図において,問いに直接関係のない部分等は,省略又は簡略化してある。
- イ ✓ 正答
- ロ
- ハ
- ニ
解説
この設問を解くためには、受電設備の単線結線図における各機器の役割と、それが系統上のどの位置に配置されるべきかを理解しておく必要があります。設問中の番号(1)から(5)が示す名称と機能の照合が、解答の最短ルートです。
機器の配置と単線結線図の読み方
高圧受電設備は、電力会社から供給される高圧電力を、構内で利用可能な低圧電力に変換する入り口です。まず、電柱上の機器から構内の配電盤に至るまで、電気の流れを順を追って確認しましょう。
- 電柱上部にある「GR付PAS」は、波及事故を防ぐための高圧交流負荷開閉器です。
- 構内への引き込みには「高圧引込用ケーブル」が使用され、受電室へとつながります。
- 受電室の主回路には、電力量を計る「VCT」、過電圧から守る「LA」、そして過電流や短絡時に回路を遮断する「VCB(真空遮断器)」と、それを制御するための「CT」「VT」が配置されています。
- 最終的に「低圧配電盤」を介して各負荷へ電力が送られます。
これらの機器が結線図上のどの位置にあるか、また回路に対して直列接続されているか並列接続されているかを把握することが、図面読解の基本です。
機器の役割と試験での判断基準
試験では、機器の外観図とシンボル、そして結線図上での配置を一致させる能力が問われます。
まず、電柱上の「GR付PAS(地絡継電器付高圧交流負荷開閉器)」は、構内での地絡事故を検出し、電力系統への影響を最小限に抑える役割を担っています。これは、自家用電気工作物において最も重要な保護機器の一つです。
受電室内の機器については、VCB(真空遮断器)は遮断能力が高く、保護協調の主役となります。これに付随するCT(変流器)とVT(計器用変圧器)は、大きな電流や高電圧を、保護継電器や計測器が扱いやすい値に変換するために設置されます。単線結線図上でこれらの位置を特定できれば、試験本番で迷うことはありません。
実務における知識の意義
この問題で問われている知識は、単なる試験対策を超えて、実際の現場で受電設備の保守・点検を行う際に不可欠なものです。例えば、受電設備がどのような保護系統で構築されているかを理解していないと、地絡事故が発生した際の原因調査や、機器の更新計画を立てることができません。
特に、どの機器が「波及事故防止」のためのものか、どの機器が「保護」のためのものかを区別することは、電気主任技術者や電気工事士が安全に設備を維持管理するための根幹となります。結線図は、その設備を構成する電気の地図そのものです。地図を正しく読む力を養うことは、電気保安業務において信頼を得るための第一歩といえるでしょう。