第一種電気工事士試験 / 令和6年度 上期 第一種 学科試験 / 問29
certification-simodake-work

令和6年度 上期 第一種 学科試験 問29 解説 電気自動車供給設備

電気自動車等から供給設備を介して,一般 用電気工作物に電気を供給する場合の施設に 関する記述として,誤っているものは。

  1. イ. 電気自動車等の出力は 20 kW 未満で,低圧幹線の許容電流以下にする。 ✓ 正答
  2. ロ. 電路に地絡が生じたときに,自動的に電路を遮断する装置を施設する。
  3. ハ. 電路に過電流が生じたときに,自動的に電路を遮断する装置を施設する。
  4. ニ. 対地電圧が150 Vを超え450 V以下の場合において,電気自動車等と供給設備 を接続する電線は,2種キャブタイヤケーブルと同等以上の性能を有するもの であるとともに,使用環境を想定した性能を有する電線を使用する。

解説

この問題は、電気自動車(EV)から住宅などの一般用電気工作物へ電気を供給するV2H(Vehicle to Home)システム等に関連する施設要件を問うものです。誤っている選択肢を見つけるには、出力の制限値に関する数値規定を正確に覚えているかが鍵となります。

出力の制限値と技術基準

選択肢イが誤りである理由は、電気自動車等の出力の上限規定が20kWではないためです。技術基準におけるこの規定では、出力は10kW未満である必要があります。

電気自動車等から供給設備を介して一般用電気工作物に電気を供給する場合、以下の条件を満たす必要があります。 ・出力は10kW未満であること ・低圧幹線の許容電流以下であること

問題文にある「20kW」という数字は、この規定において誤りであり、正しくは「10kW」と記憶しておく必要があります。

安全のための保護装置と施設要件

選択肢ロおよびハは、電気供給における基本的な安全要件です。地絡や過電流が発生した際に、自動的に電路を遮断する装置を設けることは、火災や感電を防止するための必須事項です。これはV2Hシステムに限らず、あらゆる電気工作物の設計における基本原則といえます。

選択肢ニについては、ケーブルの選定要件です。電気自動車との接続には移動や外的な力が加わる可能性が高いため、物理的に丈夫で、かつ使用環境(屋外での使用や繰り返しの曲げなど)に耐えうる性能を持つ「2種キャブタイヤケーブルと同等以上の性能を有するもの」を使用することが義務付けられています。これは、接続部の安全性を確保するための極めて実用的な規定です。

制度設計と学習の視点

この問題の教育的意図は、急速に普及する電気自動車を単なる「消費機器」としてだけでなく、分散型電源としての「供給源」として扱う際の技術的なハードルを理解させることにあります。

特に、家庭内の既存の電気設備(一般用電気工作物)に対して、外部から電力を注入する際には、過電流や地絡といった異常発生時に既存設備を保護しつつ、適切に切り離す仕組みが不可欠です。20kWという過大な容量ではなく、あくまで一般的な家庭用系統に悪影響を与えない範囲(10kW未満)という制限を設けることで、既存の配線や主幹ブレーカーがパンクしないよう安全を担保しています。

実務においては、V2H充放電設備の設置工事を行う際、設置する機器がこの技術基準に適合しているかの確認や、接続される電線の種類・太さの選定において、これらの知識が直接活用されます。試験対策としては、単に数値を暗記するだけでなく、「なぜ制限が必要か(既存系統の保護)」という観点を持つことが、記憶の定着にもつながります。

参考リンク

学習の記録にははてなブックマーク!

気づいたこと・覚えたことをコメントにメモしよう