令和5年度 学科試験 問29 解説 可燃性ガス場所の施工
可燃性ガスが存在する場所に低圧屋内電気設備を施設する施工方法として, 不適切なものは。
- イ. スイッチ, コンセントは, 電気機械器具防爆構造規格に適合するものを使用した。
- ロ. 可搬形機器の移動電線には, 接続点のない3種クロロプレンキャブタイヤケーブルを使用した。
- ハ. 金属管工事により施工し, 厚鋼電線管を使用した。
- ニ. 金属管工事により施工し, 電動機の端子箱との可とう性を必要とする接続部に金属製可とう電線管を使用した。 ✓ 正答
解説
この問題は、可燃性ガスが存在する危険場所での工事基準を問うものです。ポイントは、火花やアークが発生する可能性のある箇所において「防爆性能が担保されているか」を見抜くことにあります。
防爆電気設備の基本原則
可燃性ガスがある場所(危険場所)では、電気火花や過熱による爆発を防ぐため、非常に厳格な基準が設けられています。
まず、スイッチやコンセントのような火花が発生しやすい機器は、必ず「電気機械器具防爆構造規格」に適合したものを使用しなければなりません。この点は選択肢イの通りです。
また、電線管工事を行う場合、原則として厚鋼電線管などを用いた堅牢な金属管工事が求められます。これは、万が一内部で火花が発生しても、外部に引火させないための構造が重要視されるためです。
なぜ金属製可とう電線管が不適切なのか
この問題の核心は、金属製可とう電線管の扱いにあります。一般的に、電動機の端子箱など、機械の振動によって動きが生じる場所には「可とう性(柔軟性)」を持たせる必要があります。
しかし、危険場所において一般的な金属製可とう電線管を使用すると、以下のリスクが生じます。
- 火花が漏洩するリスク:一般的な金属製可とう電線管は、その構造上、気密性が確保されていません。内部で火花が飛んだ場合、隙間から可燃性ガスに引火する恐れがあります。
- 防爆用との区別:危険場所でどうしても可とう性が必要な場合は、「防爆用可とう管」という、爆発圧力に耐え、かつ火炎の伝播を防止できる特殊な構造のものを使用しなければなりません。
したがって、単に「金属製可とう電線管」と記述されている場合は、防爆性能が担保されていないため、不適切な施工と判断します。
現場で求められる安全の考え方
電気工事において、この知識は「爆発性雰囲気」という特殊な環境で、いかに「火源」を封じ込めるかという考え方を学ぶためのものです。
現場での判断においては、以下のステップを意識します。
- 環境の特定:その場所が危険場所(ガスや粉塵があるか)かを確認する。
- 器具・材料の選定:適合する防爆性能を持っているか、カタログや仕様書で確認する。
- 施工方法:接続部の気密性や堅牢性が保たれているか、防爆用の付属品を使用しているかをチェックする。
特に、電動機付近の接続部は振動が発生しやすいため、トラブルが起きやすい箇所です。ここで安易に汎用品を使ってしまうと、重大な事故につながる可能性があることを試験を通して理解しておく必要があります。