第一種電気工事士試験 / 令和4年度 第一種電気工事士 筆記試験 / 問3
certification-simodake-work

令和4年度 第一種電気工事士 筆記試験 問3 解説 交流回路の力率

設問図

図のような交流回路において, 電源電圧は 200V, 抵抗は20Ω, リアクタンスはX[Ω], 回路電流は20Aである。この回路の力率[%]は。

  1. イ. 50 ✓ 正答
  2. ロ. 60
  3. ハ. 80
  4. ニ. 100

解説

この問題は、並列回路における抵抗成分の電流と回路全体の電流の関係に着目することで、計算式を使わずに解くことができます。手順は以下の通りです。

  1. 抵抗に流れる電流 IRI_R を求める:IR=200V20Ω=10AI_R = \frac{200V}{20\Omega} = 10A
  2. 力率の定義式 cosθ=IRIcos\theta = \frac{I_R}{I} に値を代入する:cosθ=10A20A=0.5cos\theta = \frac{10A}{20A} = 0.5
  3. パーセント表示に直す:0.5×100=50[%]0.5 \times 100 = 50[\%]

並列回路の力率と電流のベクトル関係

交流回路における力率とは、回路に供給される全電力(皮相電力)に対して、実際に有効な仕事として消費される電力(有効電力)の割合を指します。並列回路の場合、電圧はすべての素子で共通です。したがって、抵抗に流れる電流 IRI_R は、電圧と同相の成分となり、これが有効成分となります。

一方、回路全体の電流 II は、抵抗成分の電流 IRI_R とリアクタンス成分の電流 IXI_X のベクトル和によって決まります。ベクトル図を描くと、II を斜辺、IRI_R を底辺とする直角三角形が形成されます。この直角三角形において、底辺を斜辺で割った値が力率(cosθcos\theta)となります。

なぜ抵抗電流に注目するのか

この問題では、リアクタンスの値 XX が未知数として与えられていますが、実際に計算を進める上で XX を求める必要はありません。並列回路の性質上、抵抗成分に流れる電流は電圧と完全に同期しており、その値が回路の力率を決定づける唯一の有効成分だからです。

回路図を見た際、まずは並列接続されている抵抗に流れる電流を真っ先に計算し、全体電流との比率をとるという視点を持つことが、試験時間短縮の鍵となります。

実務における力率改善の重要性

この問題は、単なる計算練習のように見えますが、実務においては非常に重要な概念を扱っています。実際の配電設備や工場内の動力回路では、誘導電動機(モーター)などが多用されるため、回路の力率は低下しがちです。

力率が低いということは、有効な仕事に使われない無効電流が回路に多く流れていることを意味します。この無効電流によって送電ロスや電圧降下が発生するため、コンデンサを並列に接続してリアクタンス成分を相殺し、力率を改善する「進相コンデンサ」の設置が行われます。この問題で学んだ「電流のベクトル成分と力率の関係」は、まさに力率改善の現場における設計・保守の基礎となる考え方です。

参考リンク

学習の記録にははてなブックマーク!

気づいたこと・覚えたことをコメントにメモしよう