令和4年度 第一種電気工事士 筆記試験 問2 解説 直流回路の電圧
図のような直流回路において, スイッチS が開いているとき, 抵抗Rの両端の電圧は 36Vであった。スイッチSを閉じたときの 抵抗Rの両端の電圧[V]は。
- イ. 3
- ロ. 12
- ハ. 24
- ニ. 30 ✓ 正答
解説
この問題は、2段階のステップで解くのが最も確実です。まずスイッチが開いている状態から未知の抵抗値 を求め、次にスイッチを閉じた後の回路で電圧降下を計算します。
- スイッチ開放時:電源電圧 が と に直列で分圧されています。 に かかるということは、 には残りの がかかっています。電圧比は なので、抵抗比も になります。よって です。
- スイッチ閉鎖時: の抵抗が と並列に接続されます。 なので、並列部分の合成抵抗 は となります。これで回路全体は と の直列接続になり、電圧は等分されます。よって の両端電圧は となります。
分圧と合成抵抗の基本法則
この問題を解くために必要なのは、直列回路における電圧分圧の法則と、並列回路の合成抵抗の考え方です。
直列回路では、各抵抗にかかる電圧は抵抗値に比例します。電源電圧 が抵抗 と に直列でかかっているとき、 にかかる電圧 は で求められます。この公式を逆に使い、分かっている電圧から抵抗値を導き出すのが最初のステップです。
並列回路では、合成抵抗 は逆数の和で求められますが、抵抗が2つの場合は という簡略式が非常に便利です。本問ではこの公式を使って、スイッチを閉じた瞬間に回路の抵抗バランスがどう変化するかを特定しています。
回路の変化を読み解く思考プロセス
試験では「スイッチの開閉」といった、状態が変化する問題がよく出題されます。このような問題を解くコツは、必ず「変化前の状態から未知の数値を特定し、その数値を使って変化後の状態を計算する」という手順を守ることです。
本問でいえば、 という値そのものは回路の形状が変わっても変化しません。スイッチを開いた状態で と特定できた時点で、その後の計算は非常にシンプルになります。もし を求めずに計算しようとすると、複数の未知数を含む複雑な連立方程式を立てる必要があり、計算ミスを誘発します。まずは「固定値(この場合は抵抗値 )を特定する」という意識を持つことが、最短ルートでの正解につながります。
実務と教育的意図
この問題は、単なる計算練習ではなく、電気回路における「負荷変動」の影響を理解しているかを問うています。
現場で電気設備を扱う際、ある機器を並列に投入(スイッチを閉じる)すると、供給される電圧がどのように変化するかを予測する能力が求められます。例えば、大きなモーターや照明を回路に追加した際、配線の抵抗分(図中の に相当)によって、他の機器にかかる電圧が低下することがあります。これを「電圧変動率」として考慮しなければなりません。
この試験問題は、複雑な回路図から必要な情報を抽出し、理論に基づいて数値を予測する、電気技術者としての基本的な解析能力を養うために設定されています。並列接続による合成抵抗の低下が、全体の電圧配分にどう影響するかをイメージできるようになると、実務でのトラブルシューティングにも役立つはずです。