令和3年度 上期 筆記試験 問26 解説 ケーブル延線用工具
写真に示すもののうち, CVT 150mm² の ケーブルを, ケーブルラック上に延線する 作業で, 一般的に使用されないものは。
- イ.
- ロ.
- ハ. ✓ 正答
- ニ.
解説
この問題は、写真に示された4つの工具が「ケーブル延線作業」という特定の工程でどのような役割を果たすかを判断するものです。正解を導くには、「延線(ケーブルを引っ張って敷設すること)」に必要な力学的補助と、その他の加工用途を区別することが鍵となります。
延線工具と加工工具を見分ける
この問題は「延線作業に使用されないもの」を選択する形式です。各選択肢の工具の役割を整理すると以下のようになります。
イはケーブルドラムを載せて回転させるジャッキです。重いケーブルドラムを浮かせ、引き出しやすくするために必須の工具です。
ロはケーブルラックに固定して使用するローラーです。ラックの曲がり角や直線区間でケーブルを滑らせ、摩擦を軽減して延線を容易にするための補助器具です。
ニはケーブルグリップです。ケーブルの先端に取り付けて延線ロープと接続し、引っ張る力をケーブル全体に分散させるための連結具です。
これらに対し、ハに示されているのは油圧式などの金属管曲げ器(ベンダー)です。これは電線管を施工現場の形状に合わせて曲げるための工具であり、ケーブルをラック上に這わせる延線作業には直接関与しません。
思考プロセス:作業の流れから除外する
合格を目指すためには、工具の形状だけでなく、電気工事の工程を意識することが重要です。
- 延線作業のステップを思い浮かべる:ドラムからケーブルを繰り出し(イ)、ラックの経路に沿って滑らせながら(ロ)、ロープで引っ張って通す(ニ)。
- 工具の機能と工程を照らし合わせる:上記工程の中で、導管の加工が必要かを確認する。
- 違和感のあるものを選ぶ:今回のケースでは、ケーブルの「敷設」と金属管の「加工」という異なる目的を比較し、延線とは関係のない加工用工具を特定します。
実務で求められる工具選定の視点
試験においてこのような工具の問題が出るのは、単なる知識の暗記を確認するためだけではありません。現場でどのような道具が必要か、安全かつ効率的に作業を進めるための段取りができるかという「施工管理能力」の基礎を問うています。
特に、CVT 150mm2という太いケーブルを扱う場合、人力での引き込みは非常に困難です。そのため、ドラムジャッキの選定や、ラックローラーによる摩擦軽減、ケーブルグリップによる確実な牽引といった延線用の周辺機器の選択ミスは、ケーブルの被覆を傷つける事故や、作業効率の著しい低下に直結します。
施工現場では、それぞれの工具がどの工程でどのようなリスクを回避するために使用されるのかを理解しておくことが、安全な工事の第一歩となります。