第一種電気工事士試験 / 令和3年度 上期 筆記試験 / 問25
certification-simodake-work

令和3年度 上期 筆記試験 問25 解説 許容電流の定義

600 V ビニル絶縁電線の許容電流(連続使用 時)に関する記述として, 適切なものは。

  1. イ. 電流による発熱により, 電線の絶縁物が著しい劣化をきたさないようにするための限界の電流値。 ✓ 正答
  2. ロ. 電流による発熱により, 絶縁物の温度が80℃となる時の電流値。
  3. ハ. 電流による発熱により, 電線が溶断する時の電流値。
  4. ニ. 電圧降下を許容範囲に収めるための最大の電流値。

解説

許容電流とは、電線に流す電流によって発生する熱が、被覆材である絶縁物の耐熱温度を超えず、寿命を縮めるような劣化を起こさせないための上限値のことです。この定義をそのまま説明している選択肢イを選択します。

許容電流の正しい定義

電線に電流を流すと、導体(銅線など)の電気抵抗によりジュール熱が発生します。この熱によって電線の温度が上昇し続けると、電線を覆っているビニルなどの絶縁物が熱で溶けたり、著しく劣化したりして、漏電や短絡(ショート)事故の原因になります。

そのため、絶縁物の種類ごとに「この温度までなら長期間使用しても品質を保てる」という限界値が決まっており、その温度に達する電流値が許容電流として定められています。

誤った選択肢の考え方

他の選択肢がなぜ誤りであるかを整理することで、概念がより明確になります。

ロの「80℃となる時の電流値」は、一般的な60℃ビニル絶縁電線(IVなど)の定義とは異なります。絶縁物の耐熱温度は種類によって異なり、600Vビニル絶縁電線(IV)の場合は通常60℃とされています。

ハの「電線が溶断する時の電流値」は、いわゆる溶断電流であり、許容電流とは別物です。溶断は線材が熱で焼き切れることを指しますが、許容電流はあくまで「劣化させないための安全限界」を指すため、数値としては溶断電流よりも遥かに低い値になります。

ニの「電圧降下を許容範囲に収める」という記述は、電線の太さや配線の長さを選定する際の「電圧降下計算」の考え方です。許容電流はあくまで熱的な制約に基づくものであり、電圧降下による制約とは別個に検討する必要があります。

実務における許容電流の重要性

現場での電気工事において、許容電流は「過電流保護装置(ブレーカー)」を選定する際や、電線の太さを決定する際の大前提となる知識です。

例えば、負荷電流が小さくても、電線が細すぎれば許容電流を超えて発熱し、火災のリスクが高まります。逆に、負荷電流が大きいのに適切な太さの電線を選ばなければ、ブレーカーが頻繁に落ちる、あるいは電線が過熱して絶縁被覆が変形する等のトラブルに繋がります。

この問題は、単なる暗記項目として出題されているだけでなく、なぜ電線の太さを計算する必要があるのかという電気工事の根幹に関わる考え方を問うています。設置場所の温度環境や、電線を何本束ねているか(電流減少係数)といった要素も加味して設計を行うのが、電気工事士としての正しいプロセスです。

参考リンク

学習の記録にははてなブックマーク!

気づいたこと・覚えたことをコメントにメモしよう