令和3年度 下期 学科試験 問28 解説 絶縁電線の接続
絶縁電線相互の接続に関する記述として, 不適切なものは。
- イ. 接続部分には,接続管を使用した。
- ロ. 接続部分を,絶縁電線の絶縁物と同等以上の絶縁効力のあるもので,十分に被覆した。
- ハ. 接続部分において,電線の引張り強さが10%減少した。
- ニ. 接続部分において,電線の電気抵抗が20%増加した。 ✓ 正答
解説
電線の接続に関する技術基準では、引張り強さと電気抵抗の両面から接続の信頼性を規定しています。試験では「引張り強さは20%以上減少させてはならない」「電気抵抗は増加させてはならない」という2つの基準を照らし合わせるだけで正解にたどり着けます。
引張り強さと電気抵抗のルール
電線を接続する際、以下の基準を守ることが法律(電気設備に関する技術基準を定める省令)で定められています。
- 電線の引張り強さを20%以上減少させないこと(80%以上の強度を維持すること)
- 電線の電気抵抗を増加させないこと
この問題で問われている「不適切なもの」とは、上記の基準に反している選択肢を指します。
選択肢ハの「引張り強さが10%減少」は、減少幅が20%未満であるため、基準の範囲内(=許容される)であり、記述としては適切です。一方、選択肢ニの「電気抵抗が20%増加」は、そもそも「電気抵抗を増加させてはならない」という原則に反しているため、技術基準上は明確な違反となります。
今回の問題の選択肢において「不適切なものはどれか」という問いに対し、なぜ「ハ」が正解とされているのか。本来、ニも明確にアウトですが、試験問題の文脈において「引張り強さの減少率」と「電気抵抗の増加の有無」を正しく理解しているかを確認しています。ハは減少しても10%なので「接続後の強度は90%残っており基準を満たしている」という理解が必要です。
技術基準が目指すもの
なぜこのような厳しい規定があるのでしょうか。それは、電気設備の火災事故を防ぐためです。
接続部分の強度が不足していると、振動や熱膨張によって接続部が脱落したり、隙間が生じたりします。また、電気抵抗が増加すると、接続部分が過熱(ジュール熱の発生)し、被覆の焼損や火災に至るリスクが急激に高まります。
この問題は、単なる暗記項目ではなく「工事士として、施工した接続部が将来にわたって安全性を確保できるか」を判断する能力を問うています。現場でスリーブ接続やコネクタ接続を行う際、圧着不足や締め付け不足があれば、当然ながら強度は低下し、接触抵抗は増大します。この基準を知っていることは、施工者自身の責任ある仕事の第一歩となります。
実務とのつながり
電気工事士の現場では、接続管(スリーブ)を用いた圧着作業が頻繁に行われます。特にリングスリーブを使用する場合、適切な圧着工具とダイス(刻印)を使用しなければ、規定の圧着力が得られず、引張り強さが基準を満たさなくなります。
また、電線をより合わせる際に芯線を傷つけてしまうと、引張り強さが著しく低下します。計算上の数値だけでなく、実際の工事で「芯線を傷つけない」「適正な工具で確実に締め付ける」という基本動作が、この技術基準を遵守することに直結しています。試験合格のためには「20%以内」「増加させてはならない」という数値を覚えるだけでなく、それが火災防止のための絶対条件であることを意識しましょう。