令和2年度 第一種電気工事士 筆記試験 問8 解説 変流器の二次電流
図のように, 変圧比が6300/210Vの単相 変圧器の二次側に抵抗負荷が接続され, その 負荷電流は300Aであった。このとき, 変圧 器の一次側に設置された変流器の二次側に流 れる電流I[A]は。 ただし変流器の変流比は20/5Aとし, 負荷 抵抗以外のインピーダンスは無視する。
- イ. 2.5 ✓ 正答
- ロ. 2.8
- ハ. 3.0
- ニ. 3.2
解説
この問題は、変圧器による電流の変換と、変流器(CT)による計器用電流の変換という、2段階の変換プロセスを追うことで解くことができます。
手順は以下の通りです。
- 変圧器の二次側電流 を、変圧比 を使って一次側の電流 に換算する。
- 求めた を、変流器の変流比 を使って計器側の電流 に換算する。
電流を変換する仕組みの理解
変圧器は電力の大きさが一定(損失を無視した場合)であるという性質を利用します。電力 が一次側と二次側で等しいため、一次電流 と二次電流 の関係は電圧の逆比になります。
変流器は、高電圧や大電流の回路に直接メーターを接続できない場合、安全に計測できるように電流を一定の比率で小さくする装置です。変流比が とあれば、一次側に 流れたときに二次側に 出力するという意味です。これは 倍する変換器と捉えることができます。
数値を当てはめる思考プロセス
まず、変圧器の一次電流 を求めます。 この式を整理すると、分母の は であるため、 となります。変圧器の一次側には の電流が流れていることがわかりました。
次に、この が変流器(CT)を通過します。変流比は ですので、二次側の電流 は、 と求められます。したがって、選択肢の「イ」が正解です。
現場で求められる計装の知識
この問題は、高圧受電設備において電流計をどのように設置するかという実務の基礎を問うています。実際の現場では、数千ボルトの電圧がかかる電線に直接電流計を繋ぐことはできません。そのため、変流器を使って「大電流」を「扱いやすい小さな電流(一般的には定格 )」に変換し、それをメーターで読み取るという手法が不可欠です。
試験問題としては「変圧器の逆比」と「変流比」という2つの変換ルールを正確に使い分けられるかを試す構成になっています。実務ではこれに加えて変流器の許容負荷(負担)や過電流強度などの検討が必要になりますが、まずはこの「変換の連鎖」を計算できることが、回路図を読み解く第一歩となります。