第一種電気工事士試験 / 令和2年度 第一種電気工事士 筆記試験 / 問7
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令和2年度 第一種電気工事士 筆記試験 問7 解説 線路損失の改善

設問図

図のように, 三相3線式構内配電線路の 末端に, 力率0.8(遅れ)の三相負荷がある。 この負荷と並列に電力用コンデンサを設置 して, 線路の力率を1.0に改善した。コンデ ンサ設置前の線路損失が2.5kWであるとすれ ば, 設置後の線路損失の値[kW]は。 ただし, 三相負荷の負荷電圧は一定とする。

  1. イ. 0
  2. ロ. 1.6 ✓ 正答
  3. ハ. 2.4
  4. ニ. 2.8

解説

この問題の解き方は、電流と力率の関係、および線路損失が電流の2乗に比例するという性質を利用することです。

手順は以下の通りです。

  1. 力率改善前の電流を I1I_1、改善後の電流を II とします。
  2. 三相電力の式 P=3VIcosθP = \sqrt{3}VI\cos\theta より、電圧 VV と有効電力 PP が一定であれば、電流 II は力率 cosθ\cos\theta に反比例します。
  3. 改善前の力率が 0.80.8、改善後の力率が 1.01.0 なので、電流の比は I=I1×(0.8/1.0)=0.8I1I = I_1 \times (0.8 / 1.0) = 0.8 I_1 となります。
  4. 線路損失 LLL=3I2rL = 3I^2rrr は線路抵抗)で表され、電流の2乗に比例します。
  5. したがって、改善後の損失 LL' は、L=L×(0.8)2=2.5×0.64=1.6[kW]L' = L \times (0.8)^2 = 2.5 \times 0.64 = 1.6 \, [\text{kW}] となります。

電流と損失の密接な関係

電気回路において、線路損失とは電線自体の電気抵抗によって消費される熱エネルギーのことです。ジュール熱と呼ばれ、P=I2RP = I^2R の式で求められます。この式からわかる最も重要な点は、損失は電流の「2乗」に比例するということです。

今回のように力率を改善すると、同じ電力を供給するために必要な電流が減少します。力率 0.80.8 の場合、電流には無効分が含まれていますが、力率を 1.01.0 に改善することで、供給源から見た電流のうち無効分が打ち消され、有効電力のみを流す状態になります。その結果、電流値は元の 0.80.8 倍まで減少します。

効率的な配電線運用の思考プロセス

試験問題を解く際、具体的な回路の電圧や抵抗値をすべて算出する必要はありません。この問題の本質は「比率」の考え方にあります。

力率改善前後の電流比を考える際、三相電力の式から、電流 IIcosθ\cos\theta は反比例の関係にあることを見抜くのが最初のステップです。次に、損失が電流の2乗に比例するという法則を適用します。これにより、複雑な計算を回避し、 2.5×(0.8)22.5 \times (0.8)^2 というシンプルな式に落とし込むことができます。試験現場では、こうした「変数が変化したときに結果がどれだけ変化するか」という比例関係を捉えることで、計算ミスを防ぎ、素早く解答を導き出すことができます。

実務における力率改善の意義

この問題は、電力会社やプラントの設計現場において、非常に実用的な意義を持っています。力率を改善することは、電気代の削減だけでなく、設備利用率の向上にも直結するからです。

配電線には流せる電流の限界(許容電流)があります。力率が低い状態では、送電設備に無効な電流が流れてしまい、本来供給できるはずの有効電力に制限がかかってしまいます。コンデンサを設置して力率を 1.01.0 に近づけることは、線路の熱によるエネルギーロスを減らすだけでなく、変圧器や電線の容量に余裕を生み出し、より多くの負荷を接続可能にするという経済的メリットを生みます。第一種電気工事士として、計算式だけでなく「コンデンサは無駄な電流を減らすための調整弁である」というイメージを持つことが、現場でのトラブルシューティングや改善提案の質を高めることに繋がります。

参考リンク

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