第一種電気工事士試験 / 令和2年度 第一種電気工事士 筆記試験 / 問6
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令和2年度 第一種電気工事士 筆記試験 問6 解説 単相3線式配電線路

設問図

図のような単相3線式配電線路において, 負荷A, 負荷Bともに負荷電圧100V, 負荷 電流10A, 力率0.8(遅れ)である。このとき, 電源電圧Vの値[V]は。 ただし, 配電線路の電線1線当たりの抵抗は 0.5Ωである。 なお, 計算においては, 適切な近似式を用 いること。

  1. 102
  2. 104 ✓ 正答
  3. 112
  4. 120

解説

単相3線式回路の電源電圧を求めるには、負荷電圧に対して、電線路で発生する電圧降下を加算します。本問では、中性線に流れる電流が相殺されてゼロになる点に着目し、各電圧側の電線路における電圧降下量 e=IRcosθe = IR \cos \theta を算出して100Vに加えることで求められます。

電圧降下の近似式と計算手順

単相3線式において、各電圧側電線(外線)に流れる電流を II、電線1線あたりの抵抗を rr、力率を cosθ\cos \theta としたとき、負荷端までの電圧降下 ee は以下の近似式で表されます。

e=Ircosθe = I \cdot r \cdot \cos \theta

ここで、I=10AI = 10 \, \mathrm{A}r=0.5Ωr = 0.5 \, \Omegacosθ=0.8\cos \theta = 0.8 を代入します。

e=10×0.5×0.8=4Ve = 10 \times 0.5 \times 0.8 = 4 \, \mathrm{V}

電源電圧 VsV_s は、負荷電圧 Vr=100VV_r = 100 \, \mathrm{V} に電圧降下 ee を加えたものとなります。

Vs=Vr+e=100+4=104VV_s = V_r + e = 100 + 4 = 104 \, \mathrm{V}

単相3線式の仕組みと中性線の役割

単相3線式は、電圧側電線2本と中性線1本から構成されます。この回路の特徴は、2つの負荷が中性線を挟んでバランスよく接続されている場合、中性線を流れる電流が打ち消し合ってゼロになるという点です。

本問においても、負荷Aと負荷Bの条件(電圧、電流、力率)が同一であるため、中性線には電流が流れません。したがって、電源電圧から見た回路は「電圧側電線」と「負荷」の直列回路として単純化できます。もし中性線に電流が流れるようなアンバランスな状態であれば、中性線の抵抗による電圧降下も考慮しなければならず、計算はより複雑になります。今回の設定は、基本を理解しているかを問う非常に素直な構造といえます。

実務現場における電圧降下の重要性

配電線路における電圧降下を計算するスキルは、電気工事士にとって非常に重要です。電気設備技術基準において、低圧受電では電圧降下を一定の範囲内(標準値は2%または5%など)に収めるよう規定されています。

もし計算を誤り、電圧降下が許容値を超えてしまうと、負荷側で電圧不足が発生し、モーターのトルク低下や照明の照度不足、電子機器の誤作動などのトラブルを招く恐れがあります。試験で問われる近似式は、複雑なベクトル計算を現場で迅速に行うための必須ツールです。設計や改修工事を行う際、電線の太さ選定や配線距離の制限を判断するための根拠として、この計算プロセスが常に活用されています。

参考リンク

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