平成30年度 筆記試験(追加試験分) 問29 解説 アクセスフロア配線
アクセスフロア内の低圧屋内配線等に関す る記述として, 不適切なものは。
- イ. フロア内のケーブル配線にはビニル外装ケーブル以外の電線を使用 できない。 ✓ 正答
- ロ. 移動電線を引き出すフロアの貫通部分は, 移動電線を損傷しないよう 適切な処置を施す。
- ハ. フロア内では, 電源ケーブルと弱電流電線が接触しないようセパレータ 等による接触防止措置を施す。
- ニ. 分電盤は原則としてフロア内に施設しない。
解説
アクセスフロア内の低圧屋内配線に関する過去問解説
この問題は、アクセスフロア内の低圧屋内配線に関する規定について、不適切な記述を選択する問題です。各選択肢が、電気設備技術基準や関連する通達に基づいているかを判断する必要があります。
解き方:各選択肢の規定内容の確認
アクセスフロア内の配線に関する一般的な規定や、電気設備技術基準・解釈で定められている内容を思い出し、各選択肢がそれに合致するかどうかを検証します。特に、ケーブルの種類、移動電線の保護、異種電線の分離、そして設備機器の設置場所に関する規定は重要です。
アクセスフロア内の屋内配線規則を理解する
アクセスフロアは、床面下に配線スペースを設けることで、配線のメンテナンス性や将来的な増設・変更を容易にするための建築構造です。しかし、その構造ゆえに、配線には特有の注意点があります。
ケーブルの種類に関する規定
イ. フロア内のケーブル配線にはビニル外装ケーブル以外の電線を使用できない。
この選択肢は誤りです。アクセスフロア内の配線には、ビニル外装ケーブル(VVFケーブルなど)が一般的に使用されますが、それ「以外」の電線が一切使用できないという規定はありません。例えば、耐熱性や耐油性が求められる場所では、それらの特性を持つケーブルが使用されることもあります。重要なのは、使用される環境に応じた適切な絶縁性能や保護性能を持つケーブルを選択することです。電気設備技術基準・解釈では、ケーブルの種類について、その用途や設置場所に応じた適切なものを使用することが求められています。
移動電線の取り扱いと保護
ロ. 移動電線を引き出すフロアの貫通部分は、移動電線を損傷しないよう適切な処置を施す。
この選択肢は正しいです。アクセスフロアから外部へ移動電線(例えば、機器に接続される柔軟なケーブル)を引き出す場合、床面の開口部(貫通部分)は、ケーブルが鋭利な角に触れて損傷したり、引っかかって断線したりするリスクがあります。そのため、グロメット(ゴムや樹脂製の保護部材)の取り付けや、ケーブルの支持方法の工夫など、移動電線が損傷しないように適切な保護措置を講じることが、安全上、そして設備の信頼性上、不可欠です。
電源ケーブルと弱電流電線の分離
ハ. フロア内では、電源ケーブルと弱電流電線が接触しないようセパレータ等による接触防止措置を施す。
この選択肢は正しいです。アクセスフロア内では、電源ケーブル(電力供給用)と弱電流電線(通信用、信号用など)が混在することが多くあります。電源ケーブルからの電磁ノイズが弱電流電線に影響を与え、通信障害や誤動作を引き起こす可能性があります。また、万が一の絶縁破壊などによる事故の波及を防ぐためにも、これらを接触させないように、セパレータ(仕切り板)を設置したり、ケーブルラックで分離したりするなどの措置が求められます。これは、電気設備技術基準・解釈の「電線相互の絶縁」に関する条項に基づいています。
分電盤の設置場所に関する規定
ニ. 分電盤は原則としてフロア内に施設しない。
この選択肢は正しいです。分電盤は、電気の供給を分岐・保護する重要な設備であり、操作や点検、保守が容易に行える場所に設置する必要があります。アクセスフロア内は、床下という、日常的なアクセスが制限される場所であり、万が一の火災発生時にも、初期対応が遅れる可能性があります。また、湿気や埃の影響を受けやすく、機器の故障リスクを高めることも考えられます。そのため、原則として、分電盤は操作や保守が容易な、床面上の露出した場所や、点検・保守のための専有スペースに設置することが、安全上、および保守上の観点から推奨されます。ただし、やむを得ずフロア内に施設する場合は、防塵・防水対策や、万が一の事態に備えた特別な防火措置などが求められることがあります。
問題の意図と実務への応用
この問題は、アクセスフロアという特殊な配線環境における、電気工事士としての基本的な安全管理と、関連法規・基準への理解度を問うものです。
思考プロセス:なぜ「ニ」が正解なのか
- イ: ビニル外装ケーブルは一般的だが、それ「以外」が一切ダメというのは考えにくい。環境に応じた適切なケーブル選択が原則。
- ロ: 移動電線は損傷しやすい。貫通部は特に注意が必要。保護措置は当然必要。
- ハ: 電磁ノイズや事故の波及防止は、電源と弱電流の分離の基本。セパレータなどは一般的な対策。
- ニ: 分電盤は操作・保守・安全性が重要。床下はそれらの条件を満たしにくい。原則、フロア外に設けるのは妥当。
この思考プロセスにより、「ニ」が他の選択肢に比べて、より確実で一般的な規定に合致しない、あるいは原則から外れていると判断できます。
実務で活かせる知識
アクセスフロアが設置されているオフィスビル、データセンター、実験施設などでの電気工事では、この問題で問われている知識は直接的に活用されます。
- ケーブル選定: どのような環境で、どのような種類のケーブルが使用可能か、または推奨されるのかを判断する際の基礎となります。
- 配線ルートの設計: 移動電線の保護方法や、電源・弱電流電線の分離方法を具体的に計画する上で、これらの知識が活きます。
- 設備機器の設置場所: 分電盤だけでなく、制御盤や配電盤などの設置場所を検討する際にも、操作性、保守性、安全性を考慮した配置が求められます。
電気設備技術基準・解釈などの法令は、電気工事士が安全かつ適切に電気設備を設置・運用するための「ルールブック」です。これらのルールを正確に理解し、実際の工事に適用することが、合格への近道となります。