平成29年度 上期 筆記試験 問39 解説 第一種電気工事士の業務
第一種電気工事士の交付を受けている者で なければ従事できない作業は。
- イ. 最大電力800kWの需要設備の6.6kV変圧器に電線を接続する作業
- ロ. 出力500kWの発電所の配電盤を造営材に取り付ける作業
- ハ. 最大電力400kWの需要設備の6.6kV受電用ケーブルを電線管に収める作業 ✓ 正答
- ニ. 配電電圧6.6kVの配電用変電所内の電線相互を接続する作業
解説
電気工事士免状の区分と作業範囲の判断基準
この問題は、電気工事士法に基づく「作業の区分」を問うものです。正解を導くための判断手順は以下の通りです。
- その作業が「自家用電気工作物」に関するものかを確認する。
- 作業の内容が「電気工事士でなければできない作業」に該当するかを判定する。
- 第一種電気工事士の独占業務である「受電設備等の工事」が含まれているかを見極める。
第一種電気工事士の職務と自家用電気工作物
電気工事士法において、第一種電気工事士の免状を受けている者は、自家用電気工作物のうち、最大電力500kW未満の需要設備などの電気工事に従事することができます。
ここで重要なのは、自家用電気工作物の中でも特に「受電設備」や「配電盤」などの重要な部分に関わる作業は、専門知識が必要とされるため、無資格者による施工が禁止されているという点です。今回の選択肢ハにある「受電ケーブルを電線管に収める作業」は、受電設備の一部を構成する工事であり、まさに第一種電気工事士の資格を必要とする典型的な作業です。
誤答となる選択肢の検討
なぜ他の選択肢が不適切なのかを、法的根拠と作業内容の観点から分解します。
イの「最大電力800kWの需要設備」は、そもそも第一種電気工事士が取り扱える範囲(500kW未満)を超えています。500kW以上の自家用電気工作物に関する工事については、第一種電気工事士の免状があっても原則として従事できません。
ロの「出力500kWの発電所」は、発電用電気工作物に該当します。発電所や変電所の設備は、たとえ小規模であっても第一種電気工事士の免状のみで工事を行うことは認められていません。
ニの「配電用変電所内の作業」も同様です。変電所等の電気工作物は、一般的な需要設備とは区分が異なり、より厳格な資格要件が求められます。
資格の意義と実務への適用
この問題の教育的意図は、単に知識を暗記させることではなく、「自分がどの範囲の工事に責任を持てるのか」という境界線を理解させることにあります。
実務においては、現場の責任者が「今行っている作業は、どの資格があれば施工可能なのか」「そもそも資格者のみが行うべき作業か」を瞬時に判断しなければなりません。特に、受電設備のケーブル敷設のような重要な工程は、施工ミスが広範囲の停電や重大な事故につながる可能性があります。第一種電気工事士試験を通じて、こうした法的な施工範囲を正確に把握することは、電気保安の実務者としての基礎体力となります。