平成29年度 上期 筆記試験 問27 解説 高圧屋内配線
高圧屋内配線を, 乾燥した場所であって展開した場所に施設する場合の記述として, 不適切なものは。
- イ. 高圧ケーブルを金属管に収めて施設した。
- ロ. 高圧絶縁電線を金属管に収めて施設した。 ✓ 正答
- ハ. 接触防護措置を施した高圧絶縁電線をがいし引き工事により施設した。
- ニ. 高圧ケーブルを金属ダクトに収めて施設した。
解説
高圧屋内配線の工事方法において、高圧絶縁電線を金属管に収める工事は認められていません。金属管工事は低圧配線では一般的ですが、高圧回路でこれを行うと、金属管内で絶縁破壊が発生した際に金属管が帯電する危険があるため、高圧配線では原則として禁止されています。
高圧屋内配線の工事方法の原則
電気設備の技術基準の解釈において、高圧屋内配線は「人が容易に触れるおそれがないように施設すること」が大前提です。具体的に認められている主な工事方法は以下の通りです。
- ケーブル工事
- がいし引き工事(ただし、使用電圧が300V以下の場合は低圧用も可だが、高圧の場合は「高圧絶縁電線」を使用し、かつ接触防護措置を施す必要がある)
ここでポイントとなるのは、高圧回路では「電線の被覆だけに頼るのではなく、物理的な距離(離隔)や防護措置、あるいはケーブル自体の構造的な堅牢性」が求められているという点です。
なぜ金属管工事が不可なのか
選択肢ロにある「高圧絶縁電線を金属管に収める」という方法は、低圧配線では広く行われる「金属管工事」の考え方です。しかし、高圧配線でこれを行うと、以下のようなリスクが生じます。
- 絶縁破壊時の危険:万が一、電線の被覆が経年劣化等で損傷し、金属管と短絡した場合、金属管全体に高電圧がかかってしまいます。もしその金属管が接地工事されていたとしても、高圧電流を十分に逃がしきれず、付近の人への感電事故や二次被害を招く恐れがあります。
- 誘導電流:金属管内で高圧電流を流すと、電磁誘導によって金属管に過大な電流が誘起され、異常発熱や火災の原因となる可能性があります。
一方、選択肢ニにある「高圧ケーブルを金属ダクトに収める」工事が認められているのは、ケーブル自体が既に高い絶縁性能と物理的保護能力を持っているためです。ダクトはあくまでケーブルを支持・保護するための経路であり、電線が直接金属に接触する金属管工事とは安全の考え方が異なります。
試験対策としての整理
この問題を解く際の判断基準は「高圧回路において、絶縁電線を金属管に通すことはできない」という一点に尽きます。試験では「高圧にはケーブルか、防護措置を施したがいし引き」というセットで暗記しておくと、他の選択肢に惑わされなくなります。
また、選択肢ハの「接触防護措置を施した高圧絶縁電線をがいし引き工事により施設」という点は、近年の技術基準で求められる重要な要件です。ただがいし引きにするだけでなく、人が容易に触れない高さに配置するか、あるいは防護網を設けるなどの措置が前提となっていることも併せて覚えておきましょう。
実務においては、高圧配線は基本的にケーブル工事が主流です。金属ダクトやがいし引きは、工場やプラントなど特定の条件下でのみ限定的に用いられる特殊な手法であると理解しておくと、現場でのイメージも湧きやすくなります。