平成29年度 上期 筆記試験 問26 解説 工具の名称
写真に示す工具の名称は。
- イ. トルクレンチ
- ロ. 呼び線挿入器
- ハ. ケーブルジャッキ
- ニ. 張線器 ✓ 正答
解説
写真を見て「ワイヤーやロープを引っ掛けるカム(つかみ金具)」「ラチェット機構による巻き取りハンドル」「固定用のフック付きベルト」が一体となっている点を確認します。これらが備わっているのは、架空線を強く引き寄せる(緊線する)ための工具である「張線器(別名:シメラー)」です。
工具の識別ポイント
この問題は、試験に登場する他の工具と混同しないことが正解への近道です。
トルクレンチは、ボルトやナットを一定の力(トルク)で締め付けるための柄の長いレンチです。先端の形状がソケット状になっており、今回の写真のような巻き取り機構はありません。
呼び線挿入器は、配管の中に電線を通すための柔軟な樹脂やスチール製のワイヤーです。リールに巻かれた線材そのものであり、張線器のような重厚なつかみ金具はついていません。
ケーブルジャッキは、ドラムに巻かれた電線を繰り出す際に使用する台座型の道具です。ドラムを持ち上げるための油圧やネジ機構を備えた大きな架台であり、手持ちの工具である張線器とは構造が全く異なります。
張線器の役割と仕組み
張線器(シメラー)は、電柱間を渡る電線に適切な張力を与えるために不可欠な工具です。電線はそのまま張るだけでは自重や環境変化でたるんでしまうため、この工具を使って必要な強さまで引っ張り、固定します。
構造としては、カムと呼ばれる金属製のつかみ金具で電線をしっかりと挟み込み、ラチェット式の巻き取り機を操作することで、小さな力で大きな引張荷重を得られるようになっています。レバーを上下に動かすことでギアが噛み合い、徐々にケーブルを巻き取っていく仕組みです。
実務現場における重要性
この知識は、架空配線工事において避けては通れないものです。電線を張る作業は非常に大きな力がかかるため、工具の選定を誤ったり、正しく使用できなかったりすると、作業中の事故や、完成後の電線の垂れ下がり・断線といったトラブルに直結します。
試験においてこの工具が出題されるのは、配線工事の「工程」と「使用機材」を正しく結びつけて理解しているかを問うためです。単に名前を覚えるだけでなく、どのような作業の時に、どのような道具が必要になるのかという、工事の流れ全体をイメージする力を養っておきましょう。