平成29年度 上期 筆記試験 問18 解説 燃料電池の原理
燃料電池の発電原理に関する記述として, 誤っている ものは。
- イ. 燃料電池本体から発生する出力は交流である。 ✓ 正答
- ロ. 燃料の化学反応により発電するため, 騒音はほとんどない。
- ハ. 負荷変動に対する応答性にすぐれ, 制御性が良い。
- ニ. りん酸形燃料電池は発電により水を発生する。
解説
この問題の正解はイです。燃料電池の出力は直流であり、交流ではないという点が誤りとなります。燃料電池は化学反応で電気を生み出すため、太陽電池と同様に直流が基本となる性質を覚えておけば即答できる問題です。
燃料電池の基本特性と直流変換
燃料電池は、水素(燃料)と酸素(空気)を化学反応させることで、エネルギーを直接電気へと変換する装置です。この変換プロセスにおいて、電気は常に一方向に流れる直流として発生します。
しかし、家庭やオフィスで一般的に利用されている家電製品などは交流(AC)で動くものが大半です。そのため、燃料電池を実用的なシステムとして活用する場合、本体から出力された直流を、インバータという変換器を使って交流へと変換する工程が必ず必要になります。試験で「燃料電池から直接交流が出る」という選択肢を見たら、それは明らかな誤りであると判断しましょう。
燃料電池の優れた特徴
この問題の他の選択肢は、燃料電池の長所を正確に説明しています。
ロの「騒音がない」という点は、燃料電池がタービンやエンジンといった回転機器を使わずに発電するためです。振動が極めて少なく、都市部や住宅に近い場所でも設置しやすいというメリットがあります。
ハの「負荷変動に対する応答性が良い」という点は、燃料電池の制御性の高さを示しています。電気の需要の変化に合わせて供給を即座に調整できるため、安定した電力供給が可能です。
ニの「水を発生する」という点は、化学反応の式 をイメージすると分かりやすいでしょう。水素と酸素が反応した結果、排出されるのは水だけであるため、極めてクリーンな発電方法として評価されています。
なぜこの知識が試験で問われるのか
第一種電気工事士試験において、燃料電池の特性を理解することは、将来的に分散型電源やコージェネレーションシステム(熱電併給システム)を扱う際の基礎教養となります。
実際の現場では、燃料電池だけでなく、太陽光発電などの直流電源を系統に接続する際の構成や、インバータの役割を意識することが非常に重要です。この問題は、単なる知識の暗記を求めているのではなく、直流と交流を適切に扱うという電気の基本原則を理解しているか、そして次世代エネルギーの特性を把握しているかを問うています。実務では、燃料電池の設置場所や周辺機器の選定において、これらの知識が不可欠となります。