第一種電気工事士試験 / 平成29年度 上期 筆記試験 / 問12
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平成29年度 上期 筆記試験 問12 解説 V結線変圧器の利用率

同容量の単相変圧器2台をV結線し, 三相負荷に 電力を供給する場合の変圧器1台当たりの最大の 利用率は。

選択肢図
  1. イ. 1/2
  2. ロ. √2/2
  3. ハ. √3/2 ✓ 正答
  4. ニ. 2/√3

解説

V結線の利用率を導き出す手順

V結線における変圧器1台あたりの最大利用率は、供給可能な三相電力と、使用している変圧器2台の合計定格容量の比率を考えることで算出します。

計算の指針は以下の通りです。

  1. 変圧器1台の定格容量を P1P_1 とすると、2台使用した合計容量は 2P12P_1 となります。
  2. V結線で供給可能な三相電力 PVP_V は、3P1\sqrt{3} P_1 です。
  3. 利用率は 供給可能な三相電力変圧器の合計定格容量\frac{\text{供給可能な三相電力}}{\text{変圧器の合計定格容量}} であるため、3P12P1=32\frac{\sqrt{3} P_1}{2 P_1} = \frac{\sqrt{3}}{2} となります。

なぜ変圧器の容量をフルに使えないのか

三相交流において、デルタ結線であれば3台の変圧器で各相を分担しますが、V結線は2台で代用する特殊な構成です。このとき、各変圧器を流れる電流は、三相負荷の線電流そのものになります。

本来、デルタ結線であれば変圧器1台あたりの電流は線電流の 1/31/\sqrt{3} 倍で済みますが、V結線では変圧器が2台しかないため、それぞれの変圧器に線電流がそのまま流れます。これにより、変圧器の定格電流に対して余裕を持たせる必要が生じ、変圧器1台あたりの利用可能容量は、定格の 3/2\sqrt{3}/2(約86.6%)に制限されてしまうのです。

効率とコストのバランスを理解する

この知識が問われる背景には、経済的な設備設計という意図があります。本来、三相電力を供給するには3台の変圧器が必要ですが、V結線を用いることで、最小限の2台で三相交流を得ることができます。

この方式は、小規模な動力設備や、変圧器の増設を見越した暫定的な運用、あるいは緊急時のバックアップとして非常に有効です。しかし、利用率が低下するというデメリットを正しく理解しておかなければなりません。変圧器の定格容量をギリギリまで使い切ろうとすると、V結線では過負荷になり焼損事故を招く恐れがあるため、設計者はこの 3/2\sqrt{3}/2 という係数を念頭に置く必要があります。

現場では、将来的に負荷が増大した際に、もう1台変圧器を追加してデルタ結線(3台構成)に戻すという拡張性を持たせるケースも多く、V結線はコストを抑えつつ需要の変化に対応するための重要な技術選択肢となっています。

参考リンク

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