第一種電気工事士試験 / 平成28年度 筆記試験 / 問6
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平成28年度 筆記試験 問6 解説 単相3線式の電力損失

設問図

図のような単相3線式配電線路において, 負荷A, 負荷Bともに消費電力800W, 力率 0.8(遅れ)である。負荷電圧がともに100V であるとき, この配電線路の電力損失[W]は。 ただし, 電線1線当たりの抵抗は0.4Ω とし, 配電線路のリアクタンスは無視する。

  1. イ. 40
  2. ロ. 60
  3. ハ. 80 ✓ 正答
  4. ニ. 120

解説

この問題は、以下の3ステップで解くことができます。

  1. 各負荷に流れる電流 II を求める。 I=PV×cosθ=800100×0.8=10[A]I = \frac{P}{V \times \cos\theta} = \frac{800}{100 \times 0.8} = 10 \, [A]
  2. 単相3線式の特性により、負荷が平衡しているため中性線には電流が流れないことを確認する。したがって、電線2線にそれぞれ 10[A]10 \, [A] が流れる。
  3. 線路全体の電力損失 PLP_L を計算する。 PL=2×I2×r=2×102×0.4=80[W]P_L = 2 \times I^2 \times r = 2 \times 10^2 \times 0.4 = 80 \, [W]

電流と電力損失の関係

単相交流回路において、消費電力 P[W]P [W]、電圧 V[V]V [V]、力率 cosθ\cos\theta が与えられたとき、流れる電流 I[A]I [A]P=VIcosθP = V I \cos\theta の関係から求められます。

配電線路で発生する電力損失は、電線の電気抵抗による発熱(ジュール熱)です。抵抗 r[Ω]r [\Omega] の電線に電流 I[A]I [A] が流れるとき、1線あたりの損失は I2r[W]I^2 r [W] となります。単相3線式回路の「線路の損失」を考える際は、電流が流れる経路にある電線の本数を考慮する必要があります。

単相3線式における電流の流し方

本問のポイントは、中性線の扱いです。単相3線式は、電圧側電線2本と中性線1本の計3本で構成されます。負荷Aと負荷Bが同じ消費電力・同じ力率である場合、回路は平衡状態となり、中性線に流れる電流は打ち消し合ってゼロになります。

このとき、回路は電圧側電線2本を通じて流れる直列のような形になります。そのため、電力損失を求める際は、電流が流れている2本の電線それぞれで発生する損失を合計する必要があり、計算式は PL=2×I2×rP_L = 2 \times I^2 \times r となります。もし中性線にも電流が流れる不平衡な状態であれば、中性線の抵抗も含めた計算が必要となりますが、本問はそのような複雑な状況を考える前段階の基本問題といえます。

電気設備における損失の重要性

実務において、配電線路での電力損失は「送電効率」に直結します。どれほど高性能な機器を導入しても、そこに電気を届けるまでの経路で抵抗による発熱(損失)が大きければ、エネルギーの無駄が発生するだけでなく、電線の過熱による事故のリスクも高まります。

第一種電気工事士の試験においてこの計算が問われるのは、単に数式を解かせることだけが目的ではありません。設計段階で電線の太さ(抵抗値 rr に影響)や負荷のバランスを考慮することが、安全かつ効率的な電気設備を構築するために不可欠であるという考え方を養うためです。この問題を通じて、なぜ配電線路で電圧を高くするのか(同じ電力を送るなら電圧を上げれば電流 II が小さくなり、損失 I2I^2 が劇的に減るため)という送配電の基本原理へもつながる視点を持つことができます。

参考リンク

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