第一種電気工事士試験 / 平成28年度 筆記試験 / 問5
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平成28年度 筆記試験 問5 解説 三相交流回路の電圧

設問図

図のような三相交流回路において, 電源 電圧は200V, 抵抗は8Ω, リアクタンスは 6Ωである。抵抗の両端の電圧VR[V]は。

  1. イ. 57
  2. ロ. 69
  3. ハ. 80
  4. ニ. 92 ✓ 正答

解説

この問題は、三相Y結線回路の「1相分」を取り出して単相交流回路として計算することで解くことができます。手順は以下の3ステップです。

  1. 電源電圧 200V200\,\text{V}(線間電圧)を相電圧 Vp=200/3115.47VV_p = 200 / \sqrt{3} \approx 115.47\,\text{V} に変換する。
  2. 1相分のインピーダンス Z=R2+X2=82+62=10ΩZ = \sqrt{R^2 + X^2} = \sqrt{8^2 + 6^2} = 10\,\Omega を求める。
  3. オームの法則 VR=I×RV_R = I \times R を用いて計算する。回路電流 I=Vp/Z=115.47/10=11.547AI = V_p / Z = 115.47 / 10 = 11.547\,\text{A} なので、VR=11.547×892.38VV_R = 11.547 \times 8 \approx 92.38\,\text{V} となる。

三相交流回路を単相で考える理由

三相交流回路において、各相が平衡している(すべての相の負荷が同じ)場合、中性点(Y結線の中心)の電位は 0V0\,\text{V} とみなせます。そのため、三相全体を一度に考える必要はなく、1つの相と中性点の間を取り出して計算しても、実用上の問題は生じません。この考え方は、電力系統の解析や機器の設計において非常に重要です。回路全体が複雑に見えても、対称性を見抜くことで単純な直列回路の問題に置き換えることができます。

インピーダンスと電圧のベクトル的関係

本問の回路では、抵抗 8Ω8\,\Omega とリアクタンス 6Ω6\,\Omega が直列に接続されています。交流回路では、抵抗とリアクタンスによる電圧降下は位相が異なります。具体的には、リアクタンスの電圧は抵抗の電圧に対して 9090 度位相が進んでいます。

ただし、今回は抵抗そのものにかかる電圧の「大きさ」を問うているため、インピーダンス ZZ を先に求めて電流 II を導出し、その電流値に抵抗値 RR を乗じるだけで正解が得られます。もし「リアクタンスの電圧」や「回路全体の電圧ベクトル」を考える必要がある場合は、位相の概念が必要不可欠になりますが、今回の問題のように「抵抗の両端の電圧」という特定の成分だけを求めるケースでは、この手順が最も効率的です。

実務における三相Y結線の重要性

この問題で問われている知識は、工場などの動力設備でよく見られる三相誘導電動機の計算や、配電線路の電圧降下計算の基礎となります。第一種電気工事士の試験では、ただ公式を覚えるだけでなく、図面から「今どの回路を計算しているのか」を正しく切り出す能力が試されています。

Y結線は相電圧が線間電圧より低くなるという特性があるため、絶縁の負担を軽減したり、安定した電圧を供給したりするために多くの場面で採用されています。実務において、現場の負荷が平衡しているのか、それともアンバランスが生じているのかを見極める際、この「1相分の回路」をイメージする力は、トラブルシューティングの際の強力な武器となります。

参考リンク

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