平成26年度 上期 学科試験 問38 解説 電気工事業法
電気工事業の業務の適正化に関する法律において、正しいものは。
- イ. 電気工事士は、電気工事業者の監督の下で、電気用品安全法の表示が付されていない電気用品を電気工事に使用することができる。
- ロ. 電気工事業者が、電気工事の施工場所に二日間で完了する工事予定であったため、代表者の氏名等を記載した標識を掲げなかった。
- ハ. 電気工事業者が、電気工事ごとに配線図等を帳簿に記載し、3年経ったので廃棄した。
- ニ. 一般用電気工事の作業に従事する者は、主任電気工事士がその職務を行う必要があると認めてする指示に従わなければならない。 ✓ 正答
解説
この問題は、電気工事士法および電気工事業法における「現場の安全管理体制」と「法令遵守(コンプライアンス)」に関する知識を問うものです。正解を選択する鍵は、主任電気工事士の役割を理解しているかどうかにあります。
主任電気工事士の役割と従事者の義務
電気工事業を営むには、営業所ごとに主任電気工事士を置くことが義務付けられています。その最大の目的は、一般用電気工作物の工事における欠陥や事故を防ぐことです。
主任電気工事士は、電気工事の作業に従事する者に対し、技術上の基準(電気設備に関する技術基準を定める省令など)に適合するよう指導・監督する責任を負っています。そのため、作業に従事する者は、主任電気工事士からなされる専門的な指示に従わなければならないことが法的に定められています。
選択肢ニが正しい理由は、まさにこの「安全確保のための指揮命令系統」が法的に明確化されているためです。
誤った選択肢を読み解く視点
他の選択肢は、なぜ誤りなのかを確認することで、より深い法規制の理解につながります。
・選択肢イ:電気用品安全法の表示(PSEマークなど)が付されていない電気用品は、原則として電気工事に使用してはなりません。電気事業者の監督云々に関わらず、技術基準に適合しない機器の使用は認められていません。
・選択肢ロ:電気工事業者は、工事現場に「氏名・登録番号・主任電気工事士の氏名」などを記載した標識を掲示する義務があります。工事の期間が短いからといって、掲示義務が免除される規定はありません。
・選択肢ハ:電気工事業者は、電気工事の施工内容や点検結果を記録した帳簿を備え付け、保管する義務があります。保管期間は「5年間」です。3年で廃棄することは法令違反となります。
実務における法令知識の重要性
この問題が求めているのは、単なる知識の暗記ではなく、「現場監督者(主任電気工事士)と作業者の関係性」および「法令で定められた帳簿・標識の取り扱い」という、実務の根幹を理解しているかです。
電気工事の現場では、個人の判断で作業を行うのではなく、法に基づいた安全管理体制の下で行動することが求められます。主任電気工事士の指示に従うというルールは、現場の安全を確保するための最後の砦と言えます。また、帳簿の保存や標識の掲示は、万が一の事故が起きた際に責任の所在や原因を究明するための重要な手段となります。試験合格後、実務に就いた際にこれらの法規を知らなければ、重大な事故や不祥事に直結するリスクがあることを、この問題は示唆しています。