平成24年度 筆記試験 問31 解説 高圧受電設備図
問30から問34までは、下の図に関する問いである。 図は、自家用電気工作物(500〔kW〕未満)の高圧受電設備及び動力設備の一部を表した図並びに高圧架空引込線の見取図である。 この図に関する各問いには、4通りの答え(イ、ロ、ハ、ニ)が書いてある。それぞれの問いに対して、答えを一つ選びなさい。 〔注〕図において、問いに直接関係のない部分等は、省略又は簡略化してある。
- イ
- ロ
- ハ
- ニ ✓ 正答
解説
電柱から建物へ高圧電力を引き込む際、図中の(2)のように空中に張り渡されるケーブルは、高圧引込用ケーブルと呼びます。この名称を正しく選ぶためのポイントは、電線種別と引き込み手法の組み合わせを正確に把握することです。
高圧引込とケーブルの使い分け
第一種電気工事士試験では、高圧引込において裸電線(高圧絶縁電線)を使用する場合と、ケーブルを使用する場合の区別が問われます。
空中に張り渡す場合、以前は高圧絶縁電線を用いた架空引込線が多く用いられていましたが、都市部や安全性の向上を目的として、現在は高圧引込用ケーブルを用いた「架空引込」が標準的です。
選択肢にある「高圧引下用ケーブル」は、電柱から地中配管を経て地中埋設管に接続するような、垂直的な引き下げに使われる場合に主に用いられる名称です。「高圧架空引込線」は電線の形態を指しますが、今回のように金属被覆を持つ「ケーブル」として指定されている場合は、その部材の呼称として最も適切な「高圧引込用ケーブル」が正解となります。
構造から見抜く判断プロセス
図を確認すると、(2)の部分は電柱上の支持物から建物の壁面へと架空で接続されています。この形態が「架空引込」であることは一目で分かります。
ここで重要なのは、なぜこれが「ケーブル」なのかという点です。図面を読み解く際、配線図記号やその描かれ方から、単なる絶縁電線ではなく、シース(外装)を持つケーブル構造であることを認識する必要があります。試験においては、以下の判断基準を持つことが合格への近道です。
- 屋外、かつ空中で、高圧を引き込んでいる線であるか。
- その線の名称として、ケーブルであることが図面や問いの文脈から読み取れるか。
- 類似の名称(引下用、架空引込線など)との定義の違いを理解しているか。
特に「引下」という言葉は、地上に向かって垂直に下ろす箇所(電柱の根元付近など)で使われやすいのに対し、電柱から建物への水平的な移動を含んだ空中の経路は「引込」の範疇に含まれます。
この知識が現場で果たす役割
この問題で問われている知識は、実際の受変電設備の設計や施工管理において不可欠です。高圧引込用ケーブルは、機械的強度が求められるだけでなく、屋外の紫外線や雨水に対する耐候性が必要です。
現場では、ケーブルの支持方法や吊り下げ金具の選定など、この名称が指し示す材料の特性を理解していなければ、正確な工事指示や材料発注が行えません。試験のための暗記にとどまらず、受変電設備の入り口となる「引込点」の構成要素としてイメージを持つことが、実務でのトラブルを防ぐ第一歩となります。
参考リンク
- 高圧受電設備の構成と名称(第一種電気工事士試験対策) ※電気関連の教育出版社の標準的な解説
- 屋外高圧引込工事の施工事例とポイント ※実際の架空引込作業におけるケーブル取り扱いの解説動画
- 電気設備技術基準の解釈:高圧引込線に関する規定 ※経済産業省による法令上の定義(正確なアカデミック・法的定義)