平成22年度 筆記試験 問28 解説 絶縁電線の接続
絶縁電線相互の接続に関する記述として、 不適切なものは。
- イ. 電線の電気抵抗を増加させないように接続した。
- ロ. 接続部分を絶縁電線の絶縁物と同等以上の絶縁効力のあるもので十分被覆した。
- ハ. 接続部分において、電線の引張り強さが30〔%〕減少した。 ✓ 正答
- ニ. 接続部分に接続管を使用した。
解説
不適切な接続を判断するポイント
電気設備技術基準の解釈において、電線の接続は「引張り強さを20パーセント以上減少させてはならない」という明確な数値規定があります。したがって、引張り強さが30パーセント減少しているという選択肢ハは、規定を大きく超えて強度を損なっているため不適切です。
電線接続の基本ルール
電気工事において電線を接続する際、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
- 電気抵抗を増加させないこと
- 絶縁電線の絶縁物と同等以上の絶縁効力のあるもので十分に被覆すること
- 引張り強さを20パーセント以上減少させないこと
電線は電流を流すだけでなく、配線ルートによっては一定の張力がかかっています。接続箇所が弱点となって断線すれば、接触不良による異常発熱や火災を招く恐れがあります。そのため、接続方法や材料(接続管やリングスリーブなど)を選定する際は、元の電線が持っている物理的な強度を極力維持することが強く求められます。
問題の意図と安全管理の思考法
この問題は、単なる知識の暗記を問うだけでなく、現場で作業を行う際の安全基準を理解しているかを問うています。
引張り強さの減少率を「20パーセント未満」に抑えるというルールは、現場では接続後の強度確保を常に意識せよというメッセージです。例えば、適切な圧着工具や指定された接続端子を使用せず、無理やりねじり合わせたり、適合しないサイズのコネクタを使ったりすると、接続部の強度は著しく低下します。試験問題において「30パーセント減少」という極端な数字が示されているのは、技術基準の境界値(20パーセント)を正確に把握しているかを確認するための、典型的なひっかけ手法です。
実務においては、単に「切れないようにする」だけではなく、長期間の振動や温度変化によって接続部が緩まないようにする施工技術が重要になります。圧着端子を用いる際は、指定された回数のカシメを行う、あるいは適切なトルクでネジを締め付けるといった手順を守ることは、すべてこの「引張り強さを損なわない」という目的に直結しています。
施工上の注意点
選択肢ニにある「接続管」の使用は、適切な施工を行えば強度が十分に確保できるため、推奨される方法の一つです。逆に、接続管を使わずに素線の一部を切り落として接続したり、心線を損傷させた状態で接続したりする行為は、当然ながら引張り強さを大きく低下させます。どのような接続部であっても、「元の電線と同等の性能を維持できているか」という視点を常に持つことが、プロの電気工事士としての判断基準となります。