平成22年度 筆記試験 問16 解説 汽力発電の再熱サイクル
図は汽力発電所の再熱サイクルを表したものである。図中のⒶ、Ⓑ、Ⓒ、Ⓓの組合せとして、正しいものは。
- イ. Ⓐ: 復水器, Ⓑ: ボイラ, Ⓒ: 過熱器, Ⓓ: 再熱器
- ロ. Ⓐ: ボイラ, Ⓑ: 過熱器, Ⓒ: 再熱器, Ⓓ: 復水器 ✓ 正答
- ハ. Ⓐ: 過熱器, Ⓑ: 復水器, Ⓒ: 再熱器, Ⓓ: ボイラ
- ニ. Ⓐ: 再熱器, Ⓑ: 復水器, Ⓒ: 過熱器, Ⓓ: ボイラ
解説
この問題は、火力発電の再熱サイクルの構成機器と、蒸気が流れる順序を把握することで解くことができます。蒸気の循環ルートを左から右、そして下から上へと追っていき、それぞれの位置が担う役割を特定するのがポイントです。
再熱サイクルの構造と蒸気の流れ
火力発電所における再熱サイクルは、蒸気を一度タービンで膨張させた後に再びボイラへ戻し、再加熱することで熱効率を向上させる仕組みです。この図における各部の役割は以下の通りです。
Aは系全体の加熱源となるボイラ本体です。Bはボイラで発生した蒸気をさらに高温にする過熱器です。蒸気はBを通った後に高圧タービンへと送られます。 一度タービンを回して圧力が下がった蒸気は、再びボイラ内にあるCの再熱器に戻され、ここで再び加熱されます。その後、蒸気は低圧タービンへと向かいます。 最後に、タービンで仕事を終えた蒸気は冷却されて水に戻る必要があるため、Dには蒸気を冷却する復水器が配置されます。
以上の通り、Aがボイラ、Bが過熱器、Cが再熱器、Dが復水器の順序となっている選択肢を選べば正解となります。
機器の配置から読み解く熱サイクル
この問題は単なる暗記ではなく、エネルギー変換のプロセスを理解しているかを問うています。 ボイラは燃料を燃焼させて蒸気を作る場所であり、過熱器はその蒸気を乾き飽和蒸気から過熱蒸気へと変化させ、タービンのブレードを腐食させない(湿り度を減らす)役割を担います。
一方、再熱器は一度膨張した蒸気を再度エネルギーの高い状態へ戻すためのものです。一度タービンを出た蒸気が再びボイラに戻る図のルートを認識できれば、Cが再熱器であることを論理的に導き出せます。 そして、タービンの出口付近にあるDは、排気された蒸気を冷やして水に戻す熱交換器であるため、復水器であると特定できます。これらの機器は、水から蒸気へ、そして蒸気から水へという熱サイクルを維持するために不可欠な要素です。
実務や学習における重要性
この知識は、大規模な火力発電設備の運転や保守、あるいは試験における発電工学の分野で基本中の基本となります。 なぜ再熱を行うのかという問いに対して、「タービン出口での蒸気の湿り度を抑え、タービン翼の侵食を防ぐと同時に、サイクル全体の熱効率を向上させるため」と答えられるようにしておくことが重要です。試験では、この再熱サイクルのほかに、給水加熱器を用いた再生サイクルとの組み合わせなども出題されることがあります。回路図のように機器の役割を定型化して覚えることで、プラント全体のエネルギーの流れを俯瞰する力が養われます。