平成22年度 筆記試験 問22 解説 変圧器の用途
写真に示す品物の用途は。
- イ. コンデンサ回路投入時の突入電流を抑制する。
- ロ. 大電流を小電流に変流する。
- ハ. 零相電圧を検出する。
- ニ. 高電圧を低電圧に変圧する。 ✓ 正答
解説
この問題は、写真の機器が計器用変成器の一種である「計器用変圧器(VTまたはPT)」であることを識別できれば容易に解けます。外観の特徴として、高圧電路に接続される側の端子(一次側)が絶縁のために離れて配置されている点、あるいは小型の変圧器のような鉄心構造が見える点が判断材料になります。
計器用変圧器の役割
計器用変圧器(Voltage Transformer)は、高圧回路の電圧を、計器や継電器で扱いやすい低い電圧(一般に二次側定格110V)に変換するための装置です。電磁誘導の原理を用いており、一次巻線と二次巻線の巻数比によって電圧を一定の比率で降圧します。
識別と判断のポイント
試験現場でこの機器を見分ける際は、以下の要素に注目してください。
- 端子の構成: 高圧側と低圧側で端子の大きさや間隔が明らかに異なり、高圧側は絶縁性を確保するための工夫がなされています。
- 形状: 配電盤内部などに設置される計器用変成器は、樹脂モールドされた箱型であるものが多く、トランス(変圧器)の構造をしています。
- 他の計器との比較: 選択肢にある「変流器(CT)」は、回路に直列に接続するため、貫通型やドーナツ型をしていることが多いです。一方で、この写真のような箱型のものは電圧を測定するために並列に接続する計器用変圧器であることが多いと判断します。
計器用変成器が必要とされる背景
第一種電気工事士が扱う自家用電気工作物では、6,600Vなどの高圧電路が一般的です。電圧計や電力計などの測定器を直接高圧電路に接続することは、安全面および装置の絶縁強度の観点から極めて危険です。
そこで、この機器を用いて安全な低電圧に落とすことで、以下のメリットが生まれます。
- 安全性の確保: 測定器を扱う作業者が高電圧に触れるリスクを排除できます。
- 汎用性の確保: 市販されている標準的な低圧用計器をそのまま活用できるようになります。
- 継電器との連携: 過電圧継電器や不足電圧継電器など、事故時に回路を遮断する保護装置に信号を送り、適切な保護協調を図るために必須の機器となります。
この問題は、単なる名称の暗記ではなく、高圧設備における安全な計測・保護システムという工学的な全体像を理解しているかを問う良問といえます。