平成21年度 筆記試験 問7 解説 高圧進相コンデンサの無効電力
図のように、直列リアクトルを設けた高圧 進相コンデンサがある。この回路の無効電力 〔var〕を示す式は。 ただし、XC > XLとする。
- イ. ✓ 正答
- ロ.
- ハ.
- ニ.
解説
この問題は、直列に接続されたリアクトルとコンデンサの合成リアクタンスを求め、その値を無効電力の基本式に代入することで導出できます。直列回路ではリアクタンスは性質の逆転を考慮して引き算されるため、合成リアクタンスは となります。これを無効電力 に適用すると、正解は となります。
リアクタンスの合成と無効電力の基本式
交流回路において、誘導性リアクタンス と容量性リアクタンス は、互いに逆の位相特性を持っています。直列回路において、これら全体のリアクタンス は、差をとることで求められます。 問題文で と指定されているため、回路全体としては容量性の性質が残ります。
次に、無効電力 の公式を確認します。あるリアクタンス に電圧 が印加されているとき、そこで消費または発生する無効電力は [var] で表されます。この式に先ほどの合成リアクタンスを代入することで、この回路の無効電力を導くことができます。
合成リアクタンスを求めるプロセス
回路図を読み解くと、各相においてリアクトルとコンデンサが直列に配置されていることがわかります。交流回路のインピーダンス計算において、誘導性(コイル)はプラスの虚数成分、容量性(コンデンサ)はマイナスの虚数成分として扱います。
直列回路の合計インピーダンス は以下のようになります。 この大きさ が、無効電力を計算する際の分母となる合成リアクタンスです。このステップでは、なぜ加算ではなく減算になるのかという「逆位相」の概念を正確に理解していることが重要です。
実務現場における直列リアクトルの役割
この問題が問うているのは、単なる数式の操作だけではありません。実務において高圧進相コンデンサに直列リアクトルを設置する理由は、主に高調波電流による障害を防ぐためです。
コンデンサは周波数が高くなるほどリアクタンスが小さくなる性質があるため、電源系統に存在する高調波が流れ込みやすく、過電流による焼損のリスクがあります。そこに誘導性リアクタンスを持つリアクトルを直列に接続することで、特定の周波数(主に第5調波)に対して直列共振に近い状態を作り出し、高調波を抑制します。
この計算式を理解しておくことは、コンデンサの容量選定や、設置するリアクトルのパーセントインピーダンス(直列リアクトルは通常、コンデンサ容量の6%などと定義されます)を検討する際の基礎知識となります。現場でトラブルシューティングを行う際、どのような条件で無効電力が発生しているのかを数式レベルで追いかけられる能力は、電気主任技術者を目指すうえで不可欠な資質といえます。