第一種電気工事士試験 / 平成21年度 筆記試験 / 問9
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平成21年度 筆記試験 問9 解説 配電線の電力損失

設問図

図のように、三相3線式構内配電線路の末端に 力率 80〔%〕(遅れ)の三相負荷があり、線電流 は50〔A〕であった。いまこの負荷と並列に電力用 コンデンサCを接続して、線路の力率を 100〔%〕に 改善した場合、この配電線路の電力損失〔kW〕は。 ただし、電線1線当たりの抵抗は 0.4〔Ω〕、 線路のインダクタンスは無視できるものと し、負荷電圧は一定とする。

  1. イ. 1.08
  2. ロ. 1.11
  3. ハ. 1.92 ✓ 正答
  4. ニ. 3.00

解説

この問題の解き方は、以下の3ステップです。

  1. 力率改善後の線電流 II' を求める 力率を100%にすると、無効電流分が打ち消され、有効電流のみが流れます。力率 cosθ=0.8\cos\theta = 0.8 のときの電流が 50A50\,\mathrm{A} なので、その有効成分である I=50×0.8=40AI' = 50 \times 0.8 = 40\,\mathrm{A} が新しい線電流となります。
  2. 三相電力損失の公式に当てはめる 三相3線式における電力損失 PLP_L は、PL=3×I2×rP_L = 3 \times I'^2 \times r で求められます。
  3. 数値を代入して計算する PL=3×402×0.4=3×1600×0.4=1920WP_L = 3 \times 40^2 \times 0.4 = 3 \times 1600 \times 0.4 = 1920\,\mathrm{W}。これをキロワットに直すと 1.92kW1.92\,\mathrm{kW} となります。

力率改善と電流の関係

電気設備において、負荷の力率を改善する最大のメリットは、線路を流れる電流を減少させることにあります。三相交流の電力は P=3VIcosθP = \sqrt{3}VI\cos\theta で表されます。負荷が消費する有効電力 PP が一定である場合、力率 cosθ\cos\theta を大きくすれば、それに応じて必要な電流 II は小さくなります。

今回のケースでは、コンデンサを設置して無効電流を相殺することで、力率を100%(cosθ=1\cos\theta = 1)に引き上げました。もともと流れていた 50A50\,\mathrm{A} のうち、50×0.8=40A50 \times 0.8 = 40\,\mathrm{A} が有効分であり、残りの無効分がコンデンサによって補償されたと解釈できます。

なぜ電力損失が減るのか

電線には抵抗 rr が存在するため、電流が流れるとジュール熱として電力が失われます。この損失は電流の2乗に比例するため、電流を減らすことは損失を劇的に減らすことに直結します。

三相3線式回路では、3本それぞれの電線で損失が発生するため、合計の損失は 3×I2×r3 \times I^2 \times r となります。コンデンサによる力率改善を行わなかった場合の損失は 3×502×0.4=3000W=3.0kW3 \times 50^2 \times 0.4 = 3000\,\mathrm{W} = 3.0\,\mathrm{kW} です。これに対し、改善後は 1.92kW1.92\,\mathrm{kW} となり、約36%の損失削減が実現できたことがわかります。

実務における意義

この問題は、電気設計における「電圧降下の抑制」と「効率化」という極めて実務的なテーマを扱っています。工場やビルなどで大型のモータを多用する場合、力率が低いと必要以上に太い電線を選定しなければならず、工事コストが増大します。また、運用中も不要な電力損失が積み重なることで電気料金が高額になります。

電気工事士の現場では、負荷設備に対して最適な容量のコンデンサを設置し、受電端での力率を管理することが求められます。本問のように電流の変化を捉え、それが損失の削減にどう寄与するかを計算できる力は、省エネ提案や設備容量の検討において必須となる知識です。

参考リンク

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