第一種電気工事士試験 / 平成21年度 筆記試験 / 問3
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平成21年度 筆記試験 問3 解説 交流回路の消費電力

設問図

図の正弦波交流回路において、電源電圧 v と負荷電流 i の波形は、図のようであった。 この負荷の消費電力〔W〕は。

  1. イ. 350 ✓ 正答
  2. ロ. 606
  3. ハ. 700
  4. ニ. 1400

解説

この問題は、波形図から得られる3つの値(最大電圧、最大電流、位相差)を読み取り、電力の公式に当てはめることで解くことができます。

計算手順は以下の通りです。

  1. 波形図から最大値 Vm=140 VV_m = 140\text{ V}Im=10 AI_m = 10\text{ A} を読み取る。
  2. 位相差 θ=60\theta = 60^\circ を確認する。
  3. 実効値に変換し、消費電力 P=VIcosθP = VI \cos\theta を計算する。 P=1402×102×cos60=14002×0.5=700×0.5=350 WP = \frac{140}{\sqrt{2}} \times \frac{10}{\sqrt{2}} \times \cos 60^\circ = \frac{1400}{2} \times 0.5 = 700 \times 0.5 = 350\text{ W}

波形から電力を導くための基礎知識

交流回路において、電力を算出する基本式は P=VIcosθP = VI \cos\theta です。ここで重要なのは、VVII がそれぞれ「実効値」でなければならないという点です。

正弦波交流の波形において、縦軸の頂点を最大値(波高値)と呼びますが、家庭用コンセントの電圧 100 V100\text{ V} など、一般的に議論される値は実効値です。最大値と実効値には、V=Vm2V = \frac{V_m}{\sqrt{2}} という関係があります。この 1/21/\sqrt{2} 倍(約 0.7070.707 倍)という係数は、波形図から瞬時値を読み取って電力を求める際の最も基本的な変換手順です。

また、cosθ\cos\theta は力率と呼ばれます。電圧と電流の波形がどれだけずれているかを表すものであり、このずれが大きくなるほど、同じ電圧と電流が流れていても有効に消費される電力は減少します。

波形を数値データとして読み解く力

この問題の思考プロセスは「グラフを読み取って物理量に変換する」という点に集約されます。

まず、電圧 vv と電流 ii がゼロを通る点(零点)に注目します。図を見ると、電流 ii がゼロから立ち上がるタイミングが、電圧 vv よりも 6060^\circ 遅れていることが分かります。これが位相差 θ=60\theta = 60^\circ です。

次に、波形の頂点を確認します。グラフの縦軸目盛りから Vm=140V_m = 140Im=10I_m = 10 を特定します。この段階で、回路の状態(電圧、電流、力率)が完全に数値として定義できたことになります。あとは実効値の公式 P=Vm2×Im2×cosθP = \frac{V_m}{\sqrt{2}} \times \frac{I_m}{\sqrt{2}} \times \cos\theta に代入するだけですが、式を整理すると P=VmIm2cosθP = \frac{V_m I_m}{2} \cos\theta となり、計算が非常に簡潔になります。

現場で求められる波形の理解

この問題の背景には、電気工事士が現場で行う「計測」の概念があります。オシロスコープなどで電圧や電流の波形を観測する際、私たちは単に実効値をデジタル表示で見るだけでなく、波形の歪みや位相のズレを視覚的に捉える必要があります。

例えば、モーターのような誘導性負荷を接続すると、この問題のように電流が電圧よりも遅れる現象が発生します。力率が低いと電線に余分な電流が流れてしまい、損失が大きくなります。この問題は、単なる計算練習であると同時に、電気設備においてなぜ力率を改善し、効率的な電力供給を目指す必要があるのかを理解するための基礎となっています。実効値と位相角を波形から読み解くスキルは、実際の計測機器の扱い方や、電力計が算出する数値の妥当性を検証する際の重要な感覚となります。

参考リンク

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