第四級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(工学 No.3) 問16 解説 VOX回路
SSB(J3E)トランシーバの送信部において、送話の音声の有無によって、自動的に送信と受信を切り替える働きをするのは、次のうちどれか。
- 1. ALC回路
- 2. VOX回路 ✓ 正答
- 3. 帯域フィルタ(BPF)
- 4. 平衡変調器
解説
問題文にある「音声の有無によって自動的に送信と受信を切り替える」という動作に注目します。この機能は英語でVoice Operated Transmitの頭文字をとってVOXと呼ばれます。選択肢の中でこの役割を担うのはVOX回路のみですので、即座に2を選択するのが正解です。
VOX回路の役割と仕組み
VOX(ボックス)回路は、マイクから入力された音声信号を検知して、そのレベルが一定以上になった瞬間に送信状態へ切り替える回路です。音声が止まると、設定された時間が経過した後に自動的に受信状態へと戻ります。
アマチュア無線において、通常はPTT(Push To Talk)ボタンを指で押して送信状態にしますが、VOXを使用すればボタンを操作する必要がありません。両手がふさがっている場合や、マイクに向かって話すだけで送信できるため、非常に便利な機能です。
誤答の選択肢を理解する
試験対策として、他の選択肢がどのような働きをしているかも整理しておきましょう。
- ALC(自動利得制御)回路:送信信号が大きすぎて歪んでしまわないように、送信出力が規定値を超えないよう自動的に調整する回路です。音量を一定に保つ役割があります。
- 帯域フィルタ(BPF):特定の周波数範囲の信号だけを通し、それ以外の不要な周波数を遮断するフィルタです。送信信号の不要な成分を取り除くために使われます。
- 平衡変調器:SSB(J3E)を作るために必須となる回路です。搬送波(キャリア)を打ち消し、音声信号だけを変調させて出力するために用いられます。
このように、それぞれの回路は「出力レベルの制御」「不要信号の除去」「変調」といった全く別の目的で設計されています。
アマチュア無線における実践的な活用
VOX機能は、実際の運用現場ではハンズフリー通話を実現するために活用されます。特に、モールス信号ではなく音声通信(電話)でコンテストに参加している際、ログを取るために両手を使いたい場面などでVOXが重宝されます。
一方で、VOXには注意点もあります。感度を上げすぎると、周囲の雑音やスピーカーからの音を拾ってしまい、意図せず送信状態になってしまうことがあります。そのため、使用する際は周囲の環境に合わせてマイクの感度やホールドタイム(送信を維持する時間)を適切に調整する技術が求められます。この問題は、単なる用語暗記にとどまらず、無線機の操作性や快適な運用のための知識を問うているといえます。