第三級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(工学 No.1) 問25 解説 電波障害の原因
無線局から発射された電波が、他の無線局の受信設備に妨害を与えるおそれがあるのは、次のうちどれか。
- 1. 電源に蓄電池が使用されたとき
- 2. 電源フィルタが使用されたとき
- 3. 送信電力が低下したとき
- 4. 高調波が発射されたとき ✓ 正答
解説
電波法上のルールとして、無線局は割り当てられた周波数のみを使用して通信を行う必要があります。他の局に妨害を与えないためには、「必要な周波数以外を発射しないこと」が基本原則です。したがって、選択肢の中で「本来出すべきではない不要な周波数」について言及している項目を探すのが正解への近道です。
電波の純粋さと不要な成分
送信機が信号を送る際、中心となる周波数を基本波と呼びますが、送信機の回路の特性上、その基本波の整数倍の周波数(2倍、3倍…)が同時に発生してしまうことがあります。これを高調波と呼びます。
高調波は、意図しない周波数で電波を放出することになるため、他の無線局がその周波数を使って通信していた場合、強力な妨害電波となってしまいます。無線設備には、この高調波などの不要な電波をできるだけ抑圧する性能が法的に求められており、これを守ることはアマチュア無線家としての重要な義務です。
妨害の可能性を判断する思考回路
この問題を解く際は、選択肢を一つずつ「この条件で妨害電波が出るか?」という観点で検討します。
- 電源に蓄電池を使用する:電源の種類は電波の質とは直接関係しません。
- 電源フィルタを使用する:電源フィルタは電源からのノイズ混入を防ぐためのものであり、妨害を防ぐための「対策」です。
- 送信電力が低下する:出力が弱くなるだけで、他の局への影響が増すことは考えにくいです。
- 高調波が発射される:これは「不要な電波」そのものであり、他局の通信を邪魔する「有害な電波」の定義に合致するため、これが正解となります。
無線工学の知識が果たす役割
この問題の教育的意図は、送信機が完璧な装置ではないことを理解させる点にあります。送信機を操作する者は、自分の信号が基本波だけでなく、副次的に高調波という「ゴミ」を含んでいないかを意識しなければなりません。
実際の運用現場では、古い送信機や調整が不十分な機器を使うと、思いがけずテレビ放送や近隣の通信局に妨害を与えてしまうケースがあります。こうした事態を避けるために、高調波がなぜ発生するのか、そしてそれをどう防ぐかという知識は、他局と共存しながら無線を楽しむために不可欠な基礎教養といえます。法規的な観点からも、無線設備規則により高調波の許容値が厳格に定められており、技術とルールの両面から理解しておくべき事項です。