令和7年度 下期 学科試験 問22 解説 GPSの概要
次の記述は、GPS(Global Positioning System)の 概要について述べたものである。 [ ] 内に入れる べき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 GPSでは、地上からの高度が約20,000 [km] の異 なる6つの軌道上に衛星が配置され、各衛星は、一 周約 [A] 時間で周回している。また、測位に使用 している周波数は、 [B] 帯である。
- 1. 12 長波(LF)
- 2. 12 極超短波(UHF) ✓ 正答
- 3. 24 長波(LF)
- 4. 24 極超短波(UHF)
解説
GPSの基礎知識を整理する
GPSの問題は暗記項目ですが、単なる丸暗記ではなく「地球の周りを回る衛星の動き」と「電波の分類」という2つの視点を持つと忘れにくくなります。
今回の選択肢を選ぶための判断基準は以下の2点です。
・GPS衛星は地球を1日2周するため、公転周期は12時間である。 ・GPS衛星が使用する1.2GHz~1.5GHz帯の周波数は、300MHz~3GHzの範囲に含まれるため、極超短波(UHF)に分類される。
なぜ12時間で地球を一周するのか
GPSは、地球上のどこからでも少なくとも4個以上の衛星が見えるように設計されています。高度約20,000kmの軌道を回る衛星は、地球の自転とは関係なく、約12時間かけて地球を一周します。1日が24時間ですので、ちょうど「1日2周」すると覚えておきましょう。もし公転周期が長すぎると、特定の地域で衛星を捕捉できない時間ができてしまい、安定した測位ができなくなってしまうため、この12時間という周期は非常に重要な数値です。
周波数の分類を理解する
電波の分類は、無線従事者試験において頻出の項目です。以下の周波数区分をセットで押さえておくと、他の問題にも応用が利きます。
・超長波(VLF):3kHz以下 ・長波(LF):30~300kHz ・中波(MF):300kHz~3MHz ・短波(HF):3~30MHz ・超短波(VHF):30~300MHz ・極超短波(UHF):300MHz~3GHz ・マイクロ波(SHF):3~30GHz
GPSで使用される信号は約1.5GHz帯です。この数値は300MHzと3GHzの間にあるため、迷わず「極超短波(UHF)」と判断します。もしこれが「長波」や「中波」であれば、地球の裏側まで電波を届けることは可能ですが、GPSのような精密な測位には不向きです。UHF帯は直進性が高く、衛星通信に適した性質を持っています。
なぜこの知識が重要なのか
海上特殊無線技士の業務において、GPSは単なる地図アプリの機能ではなく、船舶の安全運航を支える「航海計器」の基盤です。レーダーやAIS(船舶自動識別装置)などの機器とGPSが連携することで、正確な現在位置を特定し、衝突予防や遭難時の救助活動が可能になります。
試験では「GPS=高度2万km・12時間・UHF」というセットで出題されることがほとんどです。現場では「今の周波数はどの帯域か」「衛星までの距離はどのくらいか」を意識することは少ないかもしれませんが、GPSがどのような物理的制約(衛星の高度や電波の伝搬特性)の上に成り立っているかを知ることは、トラブル時の原因切り分けや、新しい航海計器の仕組みを理解する上で非常に役立ちます。