令和7年度 下期 学科試験 問24 解説 FM送受信機の動作
単一方式のFM(F3E)送受信機において、プレストークボタンを押して送信しているときの状態の説明で、正しいのはどれか。次のうちから選べ。
- 1. スピーカから雑音が出ず、受信音も聞こえない。 ✓ 正答
- 2. スピーカから雑音が出ていないが、受信音は聞こえる。
- 3. スピーカから雑音が出ているが、受信音は聞こえない。
- 4. スピーカから雑音が出ており、受信音も聞こえる。
解説
この問題は、無線機の構造における「送受切替」の仕組みを理解しているかが鍵となります。正解を導くための判断基準は、プレストークボタンを押した瞬間に、無線機が「受信待機状態」から「送信状態」へと完全に切り替わるという点にあります。
送受切替回路の役割
単一方式の無線機では、一つのアンテナを送信と受信で共有します。そのため、送信時には受信回路が焼き付かないように保護し、かつ自分の送信波が受信回路に回り込んでスピーカから出力されるのを防ぐ必要があります。
プレストークボタン(送受切替スイッチ)を押すと、送受切替回路(アンテナスイッチなど)が作動し、回路が物理的または電気的に受信回路から切り離されます。これにより、本来なら受信状態において耳障りな「ザー」という雑音(スケルチが開いている状態のノイズ)や、他の局からの通信内容が、送信中は強制的に遮断される仕組みになっています。
送信中の無線機の状態をイメージする
この問題を解く際、頭の中では以下の順序で状態を整理します。
- ボタンを押す前:無線機は受信待ちの状態であり、通信がないときはスピーカから雑音が聞こえる(スケルチが効いていない場合)。
- ボタンを押す:送受切替回路が動作し、受信回路がオフになる。
- 送信中:受信回路が切断されているため、雑音は消え、同時に他の局からの受信も不可能になる。
このプロセスから、選択肢1の「雑音が出ず、受信音も聞こえない」という状態が導き出されます。もし送信中に雑音や受信音が聞こえてしまうと、自分の送信信号と混ざってしまい、円滑な通信ができなくなります。そのため、送信中は「受信機能が一時停止する」と覚えておくのが確実です。
無線運用における重要性
この知識は、実際の無線運用において「送信している間は受信ができない」という基本原則を理解するために非常に重要です。
例えば、相手局との通信中に自分が送信ボタンを押し続けている間は、どんなに相手が緊急の呼びかけをしていても、こちら側の受信機には一切反応が出ません。これを「単信方式(シンプレックス)」といいます。自分が送信している最中に、相手が割り込んで話をしようとしても聞こえないため、交互に話す必要があります。試験の問題としては回路の動作を問うものですが、実務の現場では「送信し終わったらすぐに指を離して受信状態に戻す」という、通信のターンオーバー(交信の交代)の重要性を支える技術的背景となっています。