令和7年度 下期 学科試験 問23 解説 レーダーの映像特性
次の記述において [ A ] 及び [ B ] 内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 レーダーの映像は、画面の中心付近では [ A ] に現れるが、端の方になるにしたがって、[ B ] に映るようになる。これは電波の [ C ] の広がりによるためである。
- 1. 線状 点状 ビーム
- 2. 点状 線状 パルス幅
- 3. 点状 線状 ビーム ✓ 正答
- 4. 線状 点状 パルス幅
解説
レーダーの仕組みにおいて、目標物が画面上でどのように表示されるかを問う問題です。中心付近では小さな点として見えていた目標物が、画面の端へ行くほど横に伸びて線状に見える現象は、レーダーの電波の特性である「ビーム幅」によって引き起こされることを覚えておけば、迷わず選択できます。
なぜ遠くへ行くほど線状に見えるのか
レーダーはアンテナから細い扇状の電波(ビーム)を放射し、それが回転しながら周囲を走査します。このビームには一定の「幅」があり、この幅が映像の広がりを生んでいます。
アンテナから近い場所では、目標物はビームの幅に対して比較的小さく収まるため、画面上にはほぼ「点」として記録されます。しかし、遠方になればなるほど、ビームが広がった状態で目標物に当たることになります。このとき、回転するビームが目標物を横切る時間が長くなり、その結果として画面上の輝点は横方向に引き伸ばされた「線」のように描画されます。つまり、レーダー画面上の目標物の横幅は、実際の大きさではなく、電波のビーム幅の影響を強く受けているのです。
解答を導く思考のステップ
この問題を解くための思考プロセスは以下の通りです。
- レーダー画面の現象をイメージする:中心付近(近距離)は分解能が高く目標物が明瞭に点として映るが、端の方(遠距離)に行くにつれて像が歪む、という基本知識を想起する。
- 形状の比較:設問の「点状」と「線状」を当てはめてみる。「中心=点状、端=線状」という配置が自然であると判断する。
- 原因の特定:パルス幅はレーダーの距離方向の分解能(目標物を前後方向に識別する能力)に関わり、ビーム幅は方位方向の分解能(目標物を左右方向に識別する能力)に関わります。今回の問題は「横方向への広がり」の話をしているため、原因はビーム幅であると結論付ける。
実務における解釈と教育的意図
この知識は、航海計器としてのレーダーを運用する上で極めて重要です。レーダー画面上で横に細長い線として表示されている目標物が、実は巨大な島なのか、あるいは複数の小さな船が並んでいるものなのかを判断する際、ビーム幅による「映像の歪み」を考慮しなければならないからです。
試験問題としてのこの設問は、単なる用語の暗記を求めているのではなく、レーダーという計測機器が電波の性質(放射の広がり)に依存しているという原理原則を理解しているかを問うています。海上特殊無線技士として、計器が示す映像をそのまま鵜呑みにするのではなく、その裏にある物理的な制約を正しく認識し、状況判断に役立ててほしいという意図が含まれています。