令和7年度 下期 学科試験 問11 解説 遭難通報の事項
船舶局が無線電話通信において遭難通報を送信す る場合の送信事項に該当しないものはどれか。次の うちから選べ。
- 1 遭難した船舶の乗客及び乗組員の氏名 ✓ 正答
- 2 「メーデー」又は「遭難」
- 3 遭難した船舶の位置、遭難の種類及び状況並び に必要とする救助の種類その他救助のため必要な 事項
- 4 遭難した船舶の名称又は識別
解説
遭難通報において送信すべき事項は、救助活動を迅速かつ効率的に行うために必要な情報に絞られています。乗客や乗組員の詳細な個人情報は、通信の緊急性や秘匿性、そして救助の優先順位を考慮すると、送信すべき事項には含まれません。したがって、氏名が含まれている選択肢1が誤りであると即座に判断できます。
遭難通報に必要な情報とは
遭難通報(メーデー)は、限られた時間の中で、救助機関や周囲の船舶に対して状況を正確に伝える必要があります。電波の届きにくい状況や混信を想定し、ルールで定められた以下の項目を優先して伝えます。
- 遭難警報(メーデー・メーデー・メーデー)
- 遭難船舶の名称、コールサイン(識別信号)
- 遭難した位置(緯度経度や目印となる地点)
- 遭難の種類(浸水、火災、座礁など)
- 救助を求める種類(医療支援、曳航、退船など)
- 救助のために必要な情報(生存者の数、救命いかだの有無など)
これらは、救助に向かう側が「どこへ」「誰を」「何を準備して」向かえばよいかを判断するための最低限かつ最大の情報です。
なぜ個人の氏名は含まれないのか
個人の氏名は、救助活動の初動においては直接的な必要性が低いため、送信項目には含まれません。遭難時には、通信回線を確保し、可能な限り早く救助機関へ位置情報を届けることが最優先されます。氏名という情報は文字数も多く、通信時間を大幅に浪費してしまう可能性があるため、緊急通信においては不要な情報として除外されています。もし氏名を伝える必要がある場合は、通信が安定し、救助活動が進行する中で別途報告すべき事柄となります。
現場で求められる迅速な判断
この問題は、遭難時の緊張状態の中で「何が救助において最も重要か」を冷静に判断する能力を問うています。試験対策としては、細かいデータよりも、救助側にとって必要な「状況判断の材料」にフォーカスして覚えることが重要です。
実際の現場では、パニックに陥りやすい状況だからこそ、あらかじめ送信すべき項目を記したチェックリストを無線機の近くに貼っておくことが推奨されます。この問題のように、正しい項目と誤った項目を区別できる知識は、万が一の際に落ち着いて必要な情報を簡潔に伝えるための基礎となります。