第三級陸上特殊無線技士 / 第二級陸上特殊無線技士 試験問題例題(無線工学 No.2) / 各問題解説 / 問16
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第二級陸上特殊無線技士 試験問題例題(無線工学 No.2) 問16 解説 電波の伝搬距離

自由空間において、電波が 10〔μs〕の間に伝搬する距離はどれか。次のうちから選べ。

  1. 1. 0.3〔km〕
  2. 2. 0.5〔km〕
  3. 3. 1〔km〕
  4. 4. 3〔km〕 ✓ 正答

解説

電波が伝わる距離は、「電波の速度(光速) × 時間」で求められます。電波の速度である秒速約30万キロメートル(3×1083 \times 10^8 メートル)に、与えられた時間である10マイクロ秒(10×10610 \times 10^{-6} 秒)を掛け合わせることで、伝搬距離である3キロメートルを導き出します。

電波の速度と時間の単位に関する基礎知識

電波は光の仲間(電磁波)であり、真空中や空気中(自由空間)を伝わる速度は光の速度と同じです。この速度は物理定数として、およそ秒速30万キロメートル、メートル毎秒で表すと 3×1083 \times 10^8 [m/s] と定義されています。無線従事者試験において、電波の速度が明記されていない場合は、常にこの値を使って計算します。

また、電波の伝搬時間は非常に短いため、時間の単位には「マイクロ秒(μs)」がよく使われます。 接頭辞のマイクロ(μ)は 10610^{-6}(100万分の一)を意味します。したがって、10 [μs] は以下のように秒 [s] に換算できます。

10 [μs] = 10×10610 \times 10^{-6} [s] = 10510^{-5} [s]

この「光速」と「単位の換算」の2つが、この問題を解くための前提知識となります。

距離を算出する具体的なステップ

それでは、実際に数式に数値を当てはめて計算を進めていきましょう。 距離(dd)は、速度(vv)と時間(tt)の積で表されます。

d=v×td = v \times t

ここで、速度 v=3×108v = 3 \times 10^8 [m/s]、時間 t=10×106t = 10 \times 10^{-6} [s] を代入します。

d=(3×108)×(10×106)d = (3 \times 10^8) \times (10 \times 10^{-6})

指数の計算ルール(10a×10b=10a+b10^a \times 10^b = 10^{a+b})を適用すると、以下のようになります。

d=3×10×108×106d = 3 \times 10 \times 10^8 \times 10^{-6} d=30×1086d = 30 \times 10^{8 - 6} d=30×102d = 30 \times 10^2 d=30×100=3000d = 30 \times 100 = 3000 [m]

求めた距離は 3000 メートルです。選択肢の単位はキロメートル [km] になっているため、メートルをキロメートルに変換します。1 キロメートルは 1000 メートルですので、次のようになります。

3000 [m] = 3 [km]

したがって、正解は選択肢 4 の 3 [km] となります。

実務における電波の伝搬時間と距離の関係

この「電波が特定の時間で進む距離」を把握することは、実際の無線通信システムを設計・運用する上で非常に重要な感覚です。

例えば、レーダーシステムでは、送信した電波が目標物に反射して戻ってくるまでの時間を測定することで、目標物までの距離を測ります。電波が往復する性質を利用するため、もし電波が返ってくるまでに 20 マイクロ秒かかったとすれば、片道の伝搬時間は 10 マイクロ秒となり、目標物までの距離は 3 キロメートルであると瞬時に判断できます。

また、携帯電話の基地局と端末の間で行われるタイミング調整(タイミングアドバンス)や、GPSによる位置測定においても、電波が伝わるわずかな時間遅れをナノ秒やマイクロ秒単位で測定・補正しています。この問題は、単なる計算力を試すだけでなく、これら現代の無線技術の根底にある「電波の有限な伝搬速度」を直感的に理解するための第一歩として出題されています。

参考リンク

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