第二級陸上特殊無線技士 試験問題例題(法規 No.3) 問12 解説 固定局の備付書類
固定局に備え付けておかなければならない業務書類はどれか。次のうちから選べ。
- 1 免許記録 ✓ 正答
- 2 無線従事者選解任届の写し
- 3 無線設備等の点検実施報告書の写し
- 4 無線従事者の免許証
解説
電波法において、無線局(固定局など)に備え付けが義務付けられている業務書類を問う問題です。法律(電波法第60条および電波法施行規則第38条)により備え付けが明確に定められているのは「免許記録」のみであるため、選択肢1が正解となります。他の選択肢にある「免許証」や「各種申請・報告書の写し」は、法律で常時備え付けが義務付けられている書類には含まれません。
無線局が備えるべき「免許記録」とは
電波法第60条では、無線局に免許状や業務書類を備え付けておかなければならないと定めています。そして、電波法施行規則第38条において、具体的に備え付けるべき書類の種類が規定されています。
このうち、かつては紙の免許状そのものを備え付けることが求められていましたが、制度のデジタル化や簡素化に伴い、現在は「免許記録」として管理されるようになっています。免許記録には、無線局の目的、通信相手方、周波数、空中線電力など、その無線局が受けている許可のスペックがすべて記載されています。無線局が法的に正しく運用されているかを証明する最も基本的な書類であるため、局への備え付けが厳格に義務付けられています。
選択肢を絞り込むための判断基準
試験対策として、どの書類が備え付け義務のある業務書類で、どれがそうではないのかを明確に区別する必要があります。
選択肢2の「無線従事者選解任届の写し」や、選択肢3の「無線設備等の点検実施報告書の写し」は、無線局を運営する上で作成・提出する重要な書類ではありますが、電波法第60条で無線局に備え付けておかなければならないと指定されている法定の業務書類には該当しません。これらは社内管理や行政への提出控えとして保管されるべきものですが、法律上の常時備え付け書類とは区別されます。
選択肢4の「無線従事者の免許証」は、非常に多くの受験生が引っかかるポイントです。無線従事者免許証は、無線を操作する「個人」が携帯、または手元に保管すべきものであり、特定の「無線局(施設や設置場所)」に備え付けておく書類ではありません。電波法上、運用中に求められるのは「従事者の携帯」であり、局の「備え付け」とは定義が異なります。
したがって、局の備え付け書類として正当なものは免許記録だけとなります。
実務で求められるコンプライアンスと資格の社会的意義
この知識は、第三級陸上特殊無線技士として実際の無線局を管理・運用する立場になったときに、直ちに必要となる実務知識です。
総務省による立ち入り検査(電波監視や監査)が行われる際、最初に確認されるのが免許記録(免許状)などの備え付け書類が適切に管理されているかという点です。もし必要な書類がすぐに提示できない場合、電波法違反となり、是正指導や罰則の対象となる可能性があります。
無線局は限られた公共の電波を分け合って使用する公的な存在です。そのため、自局に割り当てられた電波の条件(周波数や電力など)をいつでも確認・証明できるようにしておくことは、無線局運用の基本中の基本です。この問題は、単なる暗記問題ではなく、将来無線設備を取り扱う技術者として必須となる「法令遵守の意識」を問う重要な教育的意図を持っています。