第二級陸上特殊無線技士 試験問題例題 (法規 No.1) 問12 解説 主任無線従事者の選解任
無線局の免許人は、主任無線従事者を選任し、又は解任したときは、どうしなければならないか。次のうちから選べ。
- 1 遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出る。 ✓ 正答
- 2 1箇月以内にその旨を総務大臣に届け出る。
- 3 2週間以内にその旨を総務大臣に報告する。
- 4 速やかに総務大臣の承認を受ける。
解説
主任無線従事者の選任や解任に関する問題では、「時期」「相手」「手続きの種類」の3つの要素を正しく組み合わせることがポイントです。主任無線従事者の選任・解任は事前に許可や承認を得るものではなく、事後に行う「届出」であり、その期限は特定の具体日数ではなく「遅滞なく」、提出先は「総務大臣」と電波法で定められています。したがって、「遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出る」と書かれた選択肢1が正解となります。
主任無線従事者の選任・解任における法的手続き
電波法第39条の2において、無線局の免許人は、主任無線従事者を選任したとき、またはこれを解任したときは、遅滞なくその旨を総務大臣に届け出なければならないと定められています。この規定を正しく理解するために、手続きに含まれる3つの要素を押さえておく必要があります。
1つ目は手続きの種類です。選任や解任は免許人の自主的な人事管理に属する事項であるため、あらかじめ行政の「承認」や「許可」を受ける必要はありません。選任・解任という事実が発生したことを行政側に知らせる「届出」で完了します。
2つ目は手続きを行う時期です。電波法では、手続の緊急度に応じて「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」といった表現が使い分けられています。「遅滞なく」は、事情が許す限り早く行うことを意味し、正当な理由のない遅れは認められないものの、合理的な理由による多少の時間的余裕を認める表現です。電波法上、1箇月以内や2週間以内といった具象的な日数制限は設定されていません。
3つ目は手続きの提出先です。無線局の免許や管理に関する権限を持つ「総務大臣」(実務上は各総合通信局長)に対して届け出ます。
選択肢を正解へ絞り込む判断プロセス
問題文の選択肢を検証する際は、以下の順番で不適切な要素を排除していきます。
まず、手続きの形式に着目します。選択肢4は「承認を受ける」となっていますが、主任無線従事者の選任や解任は行政の判断を仰ぐ承認事項ではなく届出事項であるため、選択肢4は除外できます。
次に、報告と届出の違いに着目します。選択肢3は「報告する」となっています。報告は行政機関から求められた情報を提供する性質が強いのに対し、権利の行使や義務の履行として一定の事実を知らせる行政手続きは届出となります。そのため選択肢3も不適切です。
最後に、提出期限の表現に着目します。選択肢2の「1箇月以内に」や選択肢3の「2週間以内に」といった具体的一定期間を定めた規定は、主任無線従事者の選任・解任には存在しません。法律上の正答である「遅滞なく」を用いている選択肢1が正解であると判断できます。
実務での活用と問題の設定背景
主任無線従事者制度は、無線資格を持たない操作員が運用を行う場合や、多数の資格者を一元的に監督・指導する必要がある無線局において、運用の安全と規律を確保するために設けられています。
実際の現場では、企業の組織変更や担当者の異動、退職などに伴って主任無線従事者が交替するケースが頻繁に発生します。この際、現場の運用を途切れさせないよう速やかに新しい責任者を定め、遅滞なく総合通信局へ届け出る実務手続きが行われます。もしこの届出を怠ったり著しく遅れたりした場合は、電波法違反として罰則や行政指導の対象となる可能性があります。
試験でこの知識が出題される背景には、単に条文を暗記しているか確認するだけでなく、実務において適法かつ円滑に無線局の管理体制を維持できる人物かどうかを評価する意図が含まれています。