令和6年度 下期 学科試験 問4 解説
図のような正弦波交流回路の電源電圧vに対する電流iの波形として、正しいものは。
- イ.
- ロ.
- ハ. ✓ 正答
- ニ.
解説
コンデンサを含む交流回路では、電流の位相が電圧よりも90度進みます。したがって、波形図において、電圧 が0から正に向かって立ち上がるよりも、電流 が90度(波形の4分の1周期分)早く正に立ち上がっているグラフを選びます。
位相が進む・遅れるとはどういうことか
交流回路の基本素子である「抵抗」「コイル」「コンデンサ」において、電圧と電流の位相関係は重要です。
・抵抗:電圧と電流の位相は同じ ・コイル(L):電流は電圧より90度遅れる ・コンデンサ(C):電流は電圧より90度進む
今回の問題はコンデンサ(C)の回路ですので、「電流が進む」という性質を適用します。 波形で「進む」とは、グラフ上で左側にずれていることを指します。つまり、電圧が0になる地点よりも、電流が先に0を通過して正側へ向かっているものを見つけるのが正解です。選択肢のハを見ると、電圧 が0のとき、電流 はすでにプラスの最大値をとっており、その後、電圧が上がっていく途中で電流は0に近づいています。この関係が「電流が90度進んでいる」状態です。
flowchart LR
V[電圧 v を基準] --> R[抵抗: i と同相]
V --> L[コイル: i は90°遅れ]
V --> C[コンデンサ: i は90°進み]
C --> A[波形上では i が左にずれる]覚え方のコツ
この関係性を混同しないために、語呂合わせで覚えるのが一般的です。
・「L」はコイルのこと。「コイルは遅れる」と覚える(Lの字の後半が遅れるイメージ) ・「C」はコンデンサのこと。「コンデンサは進む」と覚える
特に電気工事士の試験では、力率改善のための進相コンデンサを扱うことも多く、コンデンサが「進み」の性質を持つことは実務にもつながる非常に重要な知識です。
どんな場面で使われるか
この知識は、単なる波形の問題だけでなく、以下の場面で応用されます。
- 力率改善:モータなどのコイル成分(遅れ力率)を打ち消すために、進み力率を持つコンデンサを並列に接続し、力率を改善する計算問題に直結します。
- 回路計算:交流回路のインピーダンスを計算する際、コイルのリアクタンス とコンデンサのリアクタンス の位相をベクトル図で考える必要があり、この「90度進み/遅れ」の概念が土台となります。
ベクトル図を描く際にも、電圧を基準にしたときに電流が上方向(進み)に来るか下方向(遅れ)に来るかを判断する根拠となりますので、波形図とベクトル図をセットでイメージできるようにしておきましょう。