令和8年度上期 学科試験 問16 解説 ボイラの構成要素
図は、ボイラの水の循環方式のうち、自然 循環ボイラの構成図である。図中の①、② 及び③の組合せとして、正しいものは。
- イ. ①蒸発管 ②節炭器 ③過熱器
- ロ. ①過熱器 ②蒸発管 ③節炭器
- ハ. ①過熱器 ②節炭器 ③蒸発管
- ニ. ①蒸発管 ②過熱器 ③節炭器 ✓ 正答
解説
「給水ポンプから入った水がどのように加熱され、最終的にタービンへ送られるか」という水の流れを追いかけることで、それぞれの装置を特定できます。まず水が予熱されるのが節炭器(③)、次にドラムと往復して蒸気になるのが蒸発管(①)、最後に蒸気の温度をさらに上げるのが過熱器(②)です。
水から蒸気へ変わるメインルート
ボイラの中心的な役割は、水を熱して蒸気に変えることです。この図の左側に描かれている①の経路は、ドラム(上部の円筒状の容器)とつながっています。ドラムから下りてきた水は、燃焼ガスの熱を受けて蒸気へと姿を変え、再びドラムへと戻ります。このように液体から気体へと相変化させるための管を蒸発管と呼びます。
自然循環ボイラでは、温度が上がって密度が小さくなった水(および蒸気)が上昇しようとする自然な力を利用して、この蒸発管内を循環させています。
蒸気の質を高めてタービンへ送る
ドラムから取り出されたばかりの蒸気は、水分を多く含んだ飽和蒸気です。そのままタービンに送ると、内部で水滴が発生して羽根を傷める原因になります。そこで、ドラムから出た蒸気をさらに燃焼ガスで熱し、乾いた高温の過熱蒸気にする装置が②の過熱器です。
図を見ると、ドラムの上部から出た蒸気のラインが②を経由してタービンへと向かっていることがわかります。この「最終工程」を担うのが過熱器であると判断できます。
余った熱を再利用する省エネの工夫
給水ポンプによって外部から供給される水は、まだ温度が低い状態です。これをいきなりドラムへ入れるよりも、あらかじめ温めておいたほうが燃料の消費を抑えられます。そこで、煙突へ逃げていく排ガスの余熱を利用して給水を温めるのが③の節炭器(エコノマイザ)です。
文字通り「石炭(燃料)を節約する器」という意味があり、給水ポンプの直後、かつ煙突に近い排ガス路の出口付近に配置されるのが一般的です。
系統図から役割を見分ける思考のステップ
試験でこの種の図が出題された際は、以下の3つのポイントに注目して各パーツを特定します。
水の入り口を探す 給水ポンプのすぐ後にあるコイル状の管(③)は、冷たい水を温める節炭器です。
ループ構造を探す ドラムとつながり、燃焼ガスに直接さらされて蒸気を生み出すループ(①)は、メインの加熱部である蒸発管です。
出口(タービン側)を探す ドラムから出て、最後に熱を加えてからタービンへと送り出される管(②)は、蒸気の温度を跳ね上げる過熱器です。
このように、ボイラ内の各装置は熱を効率よく回収し、発電に最適な蒸気を作るために理にかなった順番で配置されています。この構造を理解することは、発電所のエネルギー効率を考える上での基礎知識となります。
flowchart LR
A["給水"] --> B["③ 節炭器\n(予熱)"]
B --> C["ドラム"]
C <--> D["① 蒸発管\n(蒸気発生)"]
C --> E["② 過熱器\n(過熱蒸気化)"]
E --> F["タービンへ"]