令和8年度上期 学科試験 問8 解説 百分率インピーダンス
図のように, 配電用変電所の変圧器の百分率インピーダンスが基準容量30MV・Aで18%, 変電所から電源側の百分率インピーダンスが基準容量10MV・Aで2%, 高圧配電線の百分率インピーダンスが基準容量10MV・Aで3%である。高圧需要家の受電点(A点)から電源側の合成百分率インピーダンスは基準容量10MV・Aでいくらか。 ただし, 百分率インピーダンスの百分率抵抗と百分率リアクタンスの比は, いずれも等しいとする。
- イ. 7%
- ロ. 9%
- ハ. 11% ✓ 正答
- ニ. 23%
解説
この問題の正解を導く手順は、まず各機器の基準容量を10MV・Aに統一し、その後に全ての値を加算することです。変圧器の百分率インピーダンスを10MV・A基準に換算すると6%になり、これに電源側の2%と配電線の3%を足すことで、合計の11%が求められます。
百分率インピーダンスの性質と換算式
百分率インピーダンス(%Z)とは、機器のインピーダンスによる電圧降下が、定格電圧に対して何パーセントに相当するかを示す値です。この値は基準となる容量(MV・A)に比例するという重要な性質を持っています。
例えば、ある変圧器が30MV・Aで18%のインピーダンスを持っている場合、これを10MV・Aという小さな基準で評価し直すと、値もそれに応じて小さくなります。換算の基本式は以下の通りです。
換算後の%Z = 換算前の%Z × (換算後の基準容量 / 換算前の基準容量)
本問では、最終的な答えを10MV・A基準で求めるよう指示されているため、30MV・A基準で示されている変圧器の値を10MV・A基準へ書き換える必要があります。
これにより、全てのインピーダンスが10MV・Aという同じ土俵(基準容量)に乗ったことになります。
系統を直列回路として捉える思考
電源から受電点(A点)までの経路を考えると、電源側のインピーダンス、変圧器、高圧配電線は全て一本の道でつながっています。つまり、電気回路としてはこれらは直列に接続されているとみなせます。
基準容量が統一されていれば、百分率インピーダンスは通常のオーム単位のインピーダンスと同じように、単純な加算が可能です。問題文に「百分率抵抗と百分率リアクタンスの比は、いずれも等しい」とあるのは、ベクトル合成(ルート計算)を考慮せず、算術和で計算してよいという実務的な簡略化の合図です。
したがって、A点から見た合成百分率インピーダンスは以下の計算で求められます。
この11%という数値は、10MV・Aの電力を流したときに、受電点において系統全体で11%の電圧降下が発生する特性を持っていることを意味します。
現場での活用と短絡電流の計算
この知識が実際に役立つのは、電気設備の設計や保護協調を検討する場面です。特に、受電点で事故(短絡)が起きた際にどれだけの電流が流れるかを知るために、百分率インピーダンスは欠かせません。
短絡電流()は、定格電流()を百分率インピーダンス()で割り、100を掛けることで算出できます。
例えば、本問の受電点における合成インピーダンスが11%であれば、短絡電流は定格電流の約9倍(100 / 11)流れる可能性があることがわかります。この値をもとに、遮断器の遮断容量(耐えられる限界)が不足していないか、あるいはケーブルが瞬時の大電流で焼き切れないかといった安全性を確認します。
第一種電気工事士としては、単に公式を覚えるだけでなく、変電所から需要家までの「電気の通りにくさ」を一つの数値にまとめ上げ、設備の安全を守るための指標として活用できることが求められています。