第一種電気工事士試験 / 令和8年度上期 学科試験 / 問6
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令和8年度上期 学科試験 問6 解説 配電線の電圧降下

設問図

図のように三相 3 線式の高圧配電線の 末端に遅れ力率 80%の三相負荷がある。変電 所から負荷までの配電線の電圧降下 (Vs- Vr) が 300 V であるとき, 配電線の線電流 I [A] の値は。 ただし, 配電線の電線 1 線当たりの抵抗 は 0.8Ωとし, リアクタンスは 0.6Ωとする。

  1. イ. 100
  2. ロ. 100√3 ✓ 正答
  3. ハ. 104√3
  4. ニ. 300

解説

三相3線式の電圧降下公式 ΔV=3I(rcosθ+xsinθ)\Delta V = \sqrt{3} I (r \cos \theta + x \sin \theta) を用い、与えられた数値を代入して線電流 II を求めます。力率 cosθ=0.8\cos \theta = 0.8 のとき、 sinθ=0.6\sin \theta = 0.6 となるため、括弧内の計算が 1.01.0 になり、簡潔な計算式へと導けます。

三相3線式における電圧降下の基本式

電気工事士の試験において、電圧降下の計算は非常に頻出するテーマです。三相3線式の場合、受電端電圧を VrV_r、送電端電圧を VsV_s とすると、その差である電圧降下 ΔV\Delta V は以下の近似式で表されます。

ΔV=VsVr=3I(rcosθ+xsinθ)\Delta V = V_s - V_r = \sqrt{3} I (r \cos \theta + x \sin \theta)

ここで、II は線電流、rr は電線1線当たりの抵抗、xx は電線1線当たりのリアクタンス、cosθ\cos \theta は負荷の力率です。この式に現れる 3\sqrt{3} は、単相ではなく三相回路の線間電圧を扱っていることに由来します。

力率とリアクタンス成分の整理

問題文では力率(cosθ\cos \theta)が 80%80\%、つまり 0.80.8 と与えられています。計算式には sinθ\sin \theta も必要ですが、これは以下の三角関数の関係から導き出せます。

sin2θ+cos2θ=1\sin^2 \theta + \cos^2 \theta = 1 sinθ=10.82=10.64=0.36=0.6\sin \theta = \sqrt{1 - 0.8^2} = \sqrt{1 - 0.64} = \sqrt{0.36} = 0.6

電気計算の問題では、cosθ=0.8\cos \theta = 0.8 のとき sinθ=0.6\sin \theta = 0.6、あるいは cosθ=0.6\cos \theta = 0.6 のとき sinθ=0.8\sin \theta = 0.8 という組み合わせが非常によく使われます。この組み合わせを覚えておくと計算スピードが格段に上がります。

線電流を導き出す計算プロセス

与えられた値を公式に代入していきます。 電圧降下 ΔV=300\Delta V = 300 V 抵抗 r=0.8r = 0.8 Ω\Omega リアクタンス x=0.6x = 0.6 Ω\Omega 力率 cosθ=0.8\cos \theta = 0.8 無効係数 sinθ=0.6\sin \theta = 0.6

300=3×I×(0.8×0.8+0.6×0.6)300 = \sqrt{3} \times I \times (0.8 \times 0.8 + 0.6 \times 0.6)

括弧の中を先に計算します。 0.8×0.8=0.640.8 \times 0.8 = 0.64 0.6×0.6=0.360.6 \times 0.6 = 0.36 0.64+0.36=1.00.64 + 0.36 = 1.0

すると、式は以下のように非常にシンプルになります。 300=3×I×1.0300 = \sqrt{3} \times I \times 1.0 300=3I300 = \sqrt{3} I

これを II について解くと、 I=3003I = \frac{300}{\sqrt{3}}

選択肢に合わせるために分母を払う(有利化する)と、 I=300×33×3=30033=1003I = \frac{300 \times \sqrt{3}}{\sqrt{3} \times \sqrt{3}} = \frac{300 \sqrt{3}}{3} = 100\sqrt{3} [A]

したがって、正解はロの 1003100\sqrt{3} となります。

電圧降下計算の重要性と実務への繋がり

この問題は、単に公式に数値を当てはめる能力だけでなく、交流回路におけるインピーダンスと力率の関係を正しく理解しているかを問うています。

実際の高圧配電線路や工場内の幹線設計において、電圧降下を許容範囲内に収めることは極めて重要です。電圧が下がりすぎると、電動機のトルク不足や電子機器の誤作動、あるいは照明のちらつき(フリッカ)の原因となります。第一種電気工事士は、負荷の大きさと距離、そして電線の太さに応じた電圧降下を予測し、適切な電線選定や変圧器のタップ調整を行う知識が求められます。

特に、抵抗成分だけでなくリアクタンス成分(電線同士の配置や距離によって生じる)が無視できない高圧回路や大電流回路では、この公式を用いた検討が欠かせません。この問題を通じて、電気の「質」を守るための基本的な計算手法を習得することができます。

参考リンク

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