第一種電気工事士試験 / 令和8年度上期 学科試験 / 問4
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令和8年度上期 学科試験 問4 解説 交流回路の力率

設問図

図のような交流回路の力率[%]は.

  1. イ. 50
  2. ロ. 60
  3. ハ. 70
  4. ニ. 80 ✓ 正答

解説

回路全体の合成インピーダンス ZZ を求め、抵抗 RR との比率(R/ZR/Z)を計算することで導き出せます。まず R=4ΩR=4 \Omega、コイルのリアクタンス XL=6ΩX_L=6 \Omega、コンデンサのリアクタンス XC=3ΩX_C=3 \Omega から、回路全体のリアクタンス成分を 63=3Ω6 - 3 = 3 \Omega と求めます。次にピタゴラスの定理を用いて Z=42+32=5ΩZ = \sqrt{4^2 + 3^2} = 5 \Omega を算出し、最後に力率 cosθ=4/5=0.8\cos \theta = 4 / 5 = 0.8、つまり 80%80 \% と判断します。

インピーダンスの合成とリアクタンスの相殺

交流回路における抵抗成分(インピーダンス)を考える際、単純な足し算ができないのが交流の難しさであり面白さです。抵抗 RR は電流を熱に変える働きをしますが、コイル XLX_L とコンデンサ XCX_C はエネルギーを一時的に蓄えたり放出したりする「リアクタンス」という性質を持ちます。

特に重要なのが、コイルとコンデンサは互いに逆の性質(位相を遅らせるか進ませるか)を持っているという点です。直列回路においては、これらは互いに打ち消し合います。本問では XL=6ΩX_L=6 \Omega に対して XC=3ΩX_C=3 \Omega が逆向きに働くため、差し引き 3Ω3 \Omega 分の「コイルとしての性質」が残ることになります。このように、まずは回路全体のリアクタンスが実質的にいくらになっているかを把握することが第一歩となります。

直角三角形の比率で見通しを立てる

合成リアクタンスが 3Ω3 \Omega、抵抗が 4Ω4 \Omega と分かれば、これらを直交する二辺とする直角三角形をイメージします。底辺を抵抗 R=4R=4、高さをリアクタンス X=3X=3 とすると、その斜辺が回路全体の電流の流れにくさを表すインピーダンス ZZ になります。

ピタゴラスの定理により Z=42+32=5Z = \sqrt{4^2 + 3^2} = 5 となりますが、電気の計算では「3:4:5」の比率を持つ直角三角形が非常によく登場します。この比率に気づけると、計算の手間を大幅に減らすことができます。

力率とは、この三角形において「斜辺(全体)のうち、底辺(有効な抵抗)が占める割合」を指します。数式では cosθ=R/Z\cos \theta = R / Z で表され、今回のケースでは 4/5=0.84 / 5 = 0.8 となります。パーセント表記に直すと 80%80 \% であり、供給された電力のうち 80%80 \% が有効に利用される状態であることを示しています。

現場で求められる力率改善の基礎知識

この問題が第一種電気工事士の試験で問われる背景には、実務における「力率改善」という重要な概念があります。工場のモーターなどは大きなコイル成分(誘導性負荷)を持っており、そのままでは力率が悪化し、無駄な電流が電線に流れて電圧降下や電力損失の原因となります。

そこで、本問の図にあるように、あえてコンデンサ(容量性リアクタンス)を回路に組み込むことで、コイルの性質を打ち消し、力率を 100 %\% に近づける工夫がなされます。本問の数値設定は、まさにコンデンサ XCX_C がコイル XLX_L の半分を打ち消し、力率を改善させている途中の状態をモデル化したものと言えます。試験において力率の計算をマスターすることは、電気を効率よく使うための設備設計を理解するための第一歩なのです。

参考リンク

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