令和7年度 上期 第一種 学科試験 (出題例) 問49 解説 直列リアクトルの容量
⑨で示す直列リアクトルのリアクタン スとして,適切なものは。
- コンデンサリアクタンスの3%
- コンデンサリアクタンスの6% ✓ 正答
- コンデンサリアクタンスの18%
- コンデンサリアクタンスの30%
解説
この問題は、高圧進相コンデンサ回路に設置される直列リアクトルの役割と、その容量選定に関する知識を問うものです。結論から述べると、電力系統に設置される高圧進相コンデンサに対しては、コンデンサ容量の6%のリアクタンスを持つリアクトルを直列に接続するのが標準的な設計ルールです。そのため、迷わず「コンデンサリアクタンスの6%」を選択します。
なぜ6%という数値が標準なのか
高圧進相コンデンサを電力系統に接続すると、系統内に存在するインダクタンスとコンデンサが共振回路を構成してしまい、第5高調波という特定の周波数の電流を著しく増幅させてしまうことがあります。これを防ぐために直列リアクトルを挿入するのですが、その容量選定には以下の技術的な背景があります。
一般的に、第5高調波(250Hz~300Hz)を抑制するためには、コンデンサのリアクタンス に対して、リアクトルのリアクタンス を (4%以上)にする必要があるとされています。
このとき、なぜ「6%」が選ばれるかといえば、以下の二つの理由が挙げられます。
- 第5高調波の除去性能を十分に確保するため(4%よりも余裕を持たせる)。
- 万が一、系統の条件が変化して共振周波数が変動しても、直列共振点(第5高調波よりも低い周波数)から大きく外れないようにするため。
この「6%」という数字は、日本の電気設備技術基準および設計の標準として定着しており、試験においてもほぼ例外なく「直列リアクトルといえば6%」と即答できる準備が求められます。
問題の背景にある電気的現象
高調波とは、本来の周波数(50Hzまたは60Hz)の整数倍の周波数を持つ電流や電圧の歪みのことです。特に電源側に接続された機器から発生する高調波電流は、進相コンデンサへと流れ込みます。
もし直列リアクトルがない場合、コンデンサは高調波に対して非常に低いインピーダンスを持つため、高調波電流を吸い込んでしまい、コンデンサの過熱や焼損、あるいは系統電圧の波形歪みを引き起こす原因となります。直列リアクトルを接続することで、高調波周波数において回路全体のインピーダンスを誘導性(プラスのリアクタンス)にし、高調波電流の流入を阻止するフィルターの役割を果たしています。
実務と試験での繋がり
この問題は、単なる暗記項目に留まらず、実際の受変電設備の設計や保守管理において極めて重要な知識です。
例えば、ビルや工場の電気設備図面を見ると、進相コンデンサ盤には必ず「直列リアクトル付」という記載があり、その定格容量が明記されています。現場では「コンデンサは何kvar、リアクトルは6%」という組み合わせがセットで発注されるのが常識です。
第一種電気工事士試験では、このような実務上の常識を問うことで、受験者が現場で適切な機材構成を判断できる能力を持っているかを確認しています。試験対策としては、「直列リアクトル=高調波抑制=6%」という連想を強力に紐づけておくことが、この種の問題を短時間で確実に解くための最善の戦略となります。