令和7年度 上期 第一種 学科試験 (出題例) 問42 解説 接地工事の基準
②で示す機器の接地線(軟銅線)の 最小太さと接地抵抗値の組合せとして、 適切なものは。
- イ. 3.5 mm² 100 Ω
- ロ. 8 mm² 50 Ω
- ハ. 14 mm² 10 Ω ✓ 正答
- ニ. 22 mm² 50 Ω
解説
この問題は、高圧受電設備における接地工事の規定を暗記しているかを問うものです。高圧機器(300Vを超える機器)に施す接地工事は、原則としてA種接地工事です。このA種接地工事には、「接地線の太さは直径1.6mm以上(断面積でいえば約2mm²以上)」かつ「接地抵抗値は10Ω以下」という二つの基準がありますが、高圧機器の容量や設置状況によっては、より太い電線が求められる場合があります。
今回提示された選択肢の中で、最も安全側かつ規格に適合している組合せは、接地抵抗値10Ω以下を満たした上で、接地線が十分に太い14mm²を選択する「ハ」となります。
A種接地工事の基本規定と判断基準
電気設備技術基準では、高圧受電設備の金属製外箱などにはA種接地工事を施すことが義務付けられています。試験で覚えておくべきポイントは以下の通りです。
- 接地抵抗値:10Ω以下
- 接地線の太さ:直径1.6mm以上の軟銅線
この「10Ω以下」という数値は、地絡事故が発生した際に機器の金属ケースに現れる電圧を抑制し、人体への感電を防ぐための重要な閾値です。接地抵抗値が低ければ低いほど、地絡電流が流れた時の電圧上昇を抑えることができます。選択肢の中では10Ω以外はすべて100Ωや50Ωとなっており、A種接地工事の要求基準である10Ωを満たしているのはハのみとなります。
問題の背景と現場での考え方
なぜ接地線の太さに複数の選択肢があるのか疑問に思うかもしれませんが、これは「接地線に流れる可能性のある地絡電流の大きさ」に応じて、その太さを選定しなければならないという実務上の設計原則に基づいています。
基本的には1.6mm以上で足りるケースが大半ですが、受電設備の容量が大きかったり、短絡事故が発生した際に地絡電流が遮断されるまでにかかる時間(遮断器の動作時間)が長い場合、細い電線では熱によって焼損する恐れがあります。そのため、上位資格である第一種電気工事士では、ただ「10Ω」という数字を知っているだけでなく、現場の設備状況に合わせて適切な断面積の電線を選定できる能力が求められます。
この問題の教育的な意図は、単なる数値の丸暗記から一歩進み、「接地工事は、流れる電流に対して安全な許容電流を持つ電線を選定し、かつ確実に抵抗値を低く保つ必要がある」という、保安上の本質を理解させることにあります。
実務における接地設計の重要性
試験では特定の数値が正解として設定されていますが、現実の工事現場では、接地抵抗値は地質(土壌の性質や水分量)に大きく左右されます。10Ω以下を実現するために、接地棒を複数本打ち込んだり、接地抵抗低減剤を使用したりと、様々な工夫がなされます。
また、接地線の太さを選定する際は、電気設備技術基準の解釈に記載された表を参照し、高圧配電線と接続する変圧器の保護装置の定格電流などと照らし合わせながら決定します。この試験で学ぶ内容は、将来的に自家用電気工作物の保安管理業務に携わる際、機器の更新計画や安全点検を行うための基礎知識となります。