第一種電気工事士試験 / 令和7年度 上期 第一種 学科試験 (出題例) / 問4
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令和7年度 上期 第一種 学科試験 (出題例) 問4 解説 交流回路の力率

設問図

図のような交流回路において、抵抗R=10Ω, 誘導性リアクタンスXL=10Ω, 容量性リアク タンスXC=10Ωである。この回路の力率[%]は。

  1. イ. 30
  2. ロ. 50
  3. ハ. 70
  4. ニ. 100 ✓ 正答

解説

この問題は、交流回路におけるインピーダンスの合成と力率の定義を理解していれば、計算の手間を大幅に省いて解くことができます。力率は、回路全体のインピーダンスに対する抵抗成分の割合を示すもので、誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスが同じ値であるとき、それらは互いに打ち消し合い、力率は 100% となります。

回路全体の妨げとなるインピーダンスの算出

交流回路において、電流の流れにくさを表す値をインピーダンス ZZ と呼びます。この回路は、抵抗 RR、誘導性リアクタンス XLX_L、容量性リアクタンス XCX_C が直列に接続された RLCR-L-C 直列回路です。

直列回路の合成インピーダンス ZZ は、以下の式で求められます。

Z=R2+(XLXC)2Z = \sqrt{R^2 + (X_L - X_C)^2}

ここで、問題文で与えられた数値を代入します。 R=10ΩR = 10 \Omega XL=10ΩX_L = 10 \Omega XC=10ΩX_C = 10 \Omega

式に当てはめると、(XLXC)(X_L - X_C) の部分は (1010)=0(10 - 10) = 0 となります。 つまり、Z=102+02=10ΩZ = \sqrt{10^2 + 0^2} = 10 \Omega となり、回路全体のインピーダンスは抵抗 RR の値そのものと等しくなります。

リアクタンスが相殺される直列共振の性質

力率 cosθ\cos\theta は、インピーダンス ZZ のうち、どれだけが抵抗 RR であるかという比率で表されます。

cosθ=R/Z\cos\theta = R / Z

今回のケースでは、ZZ10Ω10 \OmegaRR10Ω10 \Omega であるため、計算式は以下のようになります。

cosθ=10/10=1\cos\theta = 10 / 10 = 1

これをパーセント表示に直すと 100%100\% です。

このように XLX_LXCX_C の値が等しくなり、リアクタンス成分がゼロになる状態を直列共振と呼びます。このとき、電圧と電流の位相のズレがなくなり、回路は純粋な抵抗のみの回路と同じ挙動を示します。

効率的な送電を支える力率改善の考え方

この問題の背後には、電気を無駄なく使うための力率改善という重要な概念があります。

実際の現場にある電気機器(モーターなど)の多くはコイル成分を持っており、そのままでは電流の位相が遅れ、力率が悪化します。力率が低いと、同じ電力を送るのにより大きな電流を流す必要があり、配線での熱損失が増えてしまいます。

そこで、この問題の XCX_C(コンデンサ)のように、逆の性質を持つ成分を接続することでリアクタンスを打ち消し、力率を 100% に近づける工夫がなされます。試験で XL=XCX_L = X_C という設定がよく出題されるのは、この共振状態が電気工学において理想的なエネルギー伝送の状態の一つであることを受験生に認識させる意図があるからです。

数値を見た瞬間に 1010=010 - 10 = 0 であることに気づければ、複雑なルートの計算をすることなく、自信を持って選択肢の 100% を選ぶことができます。

参考リンク

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